続・感動!山里の真竹湯抜き

竹職人


年末、皆様にご紹介した山里の湯抜き釜の竹職人は、湯気の立ち昇る中いた。朝から切り竹を熱湯の中に入れてはじっと頃合いを見計らい、竹を引き上げる。布(ウエス)で竹表皮に残った油分を拭き取っていくのは奥様の役目、二人で長年続けてきた息の合った流れるような連携は見事だ。


真竹湯抜き作業


竹を全て取り出したら新しい真竹を釜に入れていくのだが、この時も竹は手渡し。ここの白竹は、ご夫婦が一体となって作り出す夫婦竹だ。


里山の真竹湯抜き


谷間にひっそりと、しかし力強く続く湯抜き作業。効率よく加工できるように整理整頓された美しい工場を見るだけで、どれほど丁寧な仕事ぶりかが伝わってくる。


竹刀用竹材


ずっと奥に入った所の壁沿いに積み上げられている竹は、太さや厚み節間が揃っている。どうやら何か特別な竹材として選別して置かれているようだ。聞いてみたら竹刀用の竹との事だった、剣道で使う竹刀も現在では海外から輸入されるものばかりと思われているが、まだまだこうして国産竹材を厳選して製竹されている。


竹刀用真竹割り


今日は竹割をしないとの事だったけれど、試しに数本だけ菊割の機械を使って割って見せてくれた。竹刀用の竹は、身が厚く重たい孟宗竹は使わないそうだ。湯抜きした後、時間をかけて乾燥させていた真竹は、パリパリッと心地良い音を立てて割れる。まさに竹を割ったような性格の言葉どおりだ。


竹刀用竹材


「この竹が、こうして竹刀になって剣士に使われるのだよ」職人さんは嬉しそうだ。


木製椅子


さて、湯抜き釜の焚口のところには、使い古してはいるけれど丈夫そうな木製の台が置かれている。来た時から一体何なのだろうか?と気にはなっていたが、実は煙が上がりだすと、湯抜きが始まった事を知った近所の人が三々五々集まってくる。


湯抜き釜で団らん


そして竹仕事の合間に、湯抜き釜の火を囲んで世間話に花が咲くのだ。


竹職人


湯が沸き立ってくると、また職人が竹人の顔に戻る。静かな山里の湯抜き作業は、こうしてずっと続いていく。





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