少し前、皆様に復刻しますとお話ししていた背負い籠が遂に出来あがった。真竹の旬がよくなり、竹質がようやく満足できるようになったので、この竹ならと思い編んでもらう事にした。
この背負い籠の作りは、六ツ目編みの背負い籠とは違い基本的に御用籠と呼ばれていた竹籠と全く同じだ。御用籠は、現在農家さん等で多用されているプラスチックコンテナが出来る前までは、何でも入れて運べる便利で丈夫な角籠として沢山製造されていた。
それこそ全国各地で作られていたものが、プラスチックの登場で一気になくなり今ではこのよな背負い籠も、レアな竹細工の逸品と言わさせるをえない。
それにしても何年ぶりだろうか?この角籠を背負うのは。硬くしっかりとした感触が何とも心地いい。前にもお話しした事があると思うが、自分が小さい頃に自宅に来られていた行商のおばちゃんは、いつもこの角籠を背負っていた。もっと細かい編み込みの籠で、内側は二段か三段になっていて物入れになっていたように思う。
その角籠を焦げ茶色の大きな風呂敷につつんでいて、その風呂敷を広げた瞬間に玄関先に香ばしい鰹節の匂いが広がってお腹が空くのだ(笑)。一日中、お客様の家を目指してアチラコチラと歩いて行くおばちゃん達にとって、この角籠は頼りがいのある無くてはならない大事な仕事道具でありパートナーだったろう。
ズッシリ重たい商品を入れる背負い籠が途中で壊れたりしたら大変だ、安心して商売に集中できる竹に大きな信頼を置いていたと思う。そんな事考えていると嬉しくなって、今日の空みたいな晴れやかな気持ちになる。
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