続々・高津川の鮎魚籠

高津川の鮎魚籠


島根県津和野町を流れる高津川沿いに車を走らせる。達人は、車窓から飛び跳ねる鮎を見ただけで大きさが分かると言う。多い時には一日に80キロもの漁獲量がある、つまりこの鮎魚籠で20個分だから少し驚いた。だから鮎魚籠は長持ちする事なく、3年でやり替えていたそうだ、特にやはり口部分が傷みやすい。


魚籠のかえし


高津川の鮎魚籠の口部分には「カエシ」がついている。自分の魚籠についている棕櫚のカエシを見て素人と笑う、この結び方では使っているうちに棕櫚が抜けてしまうそうなのだ。この棕櫚カエシ見てそんな事言う方は他に知らない。


ナイロンのかえし


達人の使うカエシはナイロン紐製だけれど自作で紐が絶対にぬけないように編まれている。川の中で鮎を魚籠に移すから、このカエシは必要不可欠な大事なパーツなのだ。


高津川の鮎魚籠


二つの鮎魚籠と比べると首部分の長さが違う。原型に近いのは、もちろん首が長い方で、鮎が飛び出さないというのもあるし、見た目の優美さもある。


高津川の鮎魚籠


実際に川で使う場合には、籠にこのような被せをしている、これは網を投げる時に竹ヒゴに引っ掛かるのを防ぐための工夫だ。


虎竹魚籠g


鮎魚籠の厚みの事も盛んに話されているのを聞いて、前に虎竹で製作していた魚籠を思い出す。そう言えば、あの渓流釣りのための魚籠も厚みが薄く、腰にピタリと添うように編まれていた。元々は自身も釣りを楽しまれる職人だったから、釣り人の事はよく理解されていたのだろう。


高津川の鮎魚籠


竹虎にある鮎籠とは全く異なる形、いやどこの魚籠とも恐らく似ていなくて、一つしか残っていないかもと思っていた不思議な鮎魚籠が3個ならんでいる。もしかしたら、この高津川流域には、まだ昔ながらの同じ籠を使っておられる川漁師さんがいるのだろうか?籠は黙って答えてくれない(笑)。





コメントする