細い虎竹をズラリと並べているので、少し分かりづらいけれど虎竹玉袖垣りが、いよいよ仕上げの段階になっている。今年も師走となり残すところ少しとなってきたが、この時期になるとお正月を綺麗な玄関で迎えられたいというお客様から、袖垣や竹垣の滑り込みのようなご注文が何件か入ってくる。
袖垣など大型の竹製品は特殊でもあり、需要も段々と減少してきたので今ではあまり製作している所もなくなった。そのせいだろうか? 珍しさからかも知れないが、竹虎YouTube動画「日本唯一の虎竹を使った玉袖垣の作り方」は、今日現在で再生回数が325万回にもなっている。
出来あがりを見るだけでは知る事のできない、手の込んだ袖垣の製作工程が良くお分かりいただけると思う。ご関心のある方は是非ご覧下さい。
沢山の方が「知らなかった」と驚かれるのが、袖垣の柱部分。一本の竹を使って作られているように思われているが、実は芯に入れた孟宗竹に細く割った虎竹を巻きつけて仕上げている。
そこで、このように竹節を少しづつズラした模様を付ける事もできるのだ。柱に巻き付ける竹を巻竹と呼んでいる。袖垣の種類によって割り幅が異なるのだけれど、細く均等に割っていくのは長くなるほど技術が必要で、この巻竹作りばかりしてくれている内職さんは今でも健在だ。
巻竹に似た竹のあしらいで、竹ヒシギというものがある。ただ、巻竹が竹を刃物で割るのに対して、ヒシギは専用の金槌のような道具で叩き割る形で丸い竹を平にしていく。
ヒシギと言えば、前にもお話しした事があるけれど、大阪万博記念公園にある国立民族学博物館での仕事を思い出す。館内に復元する屋根材に使用されるため、特別に長い虎竹ヒシギを作った事がある。自分などはヒシギと言えば、袖垣に使うと思いがちなのだが、実は昔から壁材などとしても使われてきた建材のひとつなのだ。
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