シダ編み籠と聞いても、ピンと来る方がどれくらいいるだろうか?紅葉狩りの季節でもあったので、休日に近くの山に出かけたり、趣味でトレッキングなどされる方も多いのでシダをご存知の方は多いと思う。そんな皆様が普通に見かけるシダを使った籠がかつては編まれていて、耐水性の高さから茶碗籠や脱衣籠などとして多用されていたのだ。
南北に長い日本では、その地域で手に入りやすい素材を使って実に様々な籠が編まれて暮らしの中で愛用されて来た。竹と一口に言っても真竹や淡竹など大型の竹材と、細い小型のメゴ笹(カグラササ)では性質が全く異なり、編み上がる籠が違う。
メゴ笹は細い丸竹そのままに籠に使うので、ツルツルした竹表皮(ちなみにメゴ笹は、「笹」と付いているがタケ類)を活かした籠になる。比較的に長い竹材が取れるから大型の籠も編める、湿気にも強く、毛羽立ちもないので洗濯籠などに使われる。
シダは、天然のプラスチックと呼びたいほどの防水性を持ったヒゴが特徴だ。ちょうど秋口から冬場にかけてがシダの伐採の季節だが、茎の長い物ばかりがある訳ではない。昔のように、シダ屋さんがあってそれぞれの長さを素材を揃えてくれている訳ではない。自然に生えている素材の長さや、性質を見ながら籠を編むので出来あがる籠のサイズには結構差があったりする。
それでも、水切り籠として自然素材最強の耐水性を誇る機能性と美しさは魅力的だ。古民家で、真っ黒くなった籠はシダで編まれたものだった、囲炉裏の生活で煤けた事もあるのだけれど、シダも使い込むと何とも言えない経年変色と艶がでてくる。知らない世代には、是非伝えたい日本の逸品なのだ。
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