竹ざる(二重バラ)を使う味噌づくり1日目

ふたえばら(二重編み竹ざる)


この大迫力の竹ざるは、直径が3.5尺(105センチ)もある大ざる!しかも底に六ツ目編みの補強が入った「ふたえばら」と呼ばれる二重編み竹ざるだ。さらに、凄みさえ感じさせるような数十年使い込まれた色艶が素晴らしい。ご存知ない方のために、念のため申し上げるが、元々はこの竹ざるも真竹の青々とした色合いだったはずだ。それが長い月日の間に段々と鮮やかな色合いが落ち着き、愛用されていく中で渋い飴色の光沢を放つようになっているのだ。


水に浸けた大豆


さて、毎日の食卓にか欠かせないお味噌だが、どのように作られているかご存知だろうか?中には味噌作りのキットを使われている方もおられるかも知れないけれど、自分も含めて多くの方は馴染のある調味料であるにも関わらず、案外知らないのではないかと思う。今回、JA鹿児島みらい女性部小山田支部さんのご協力で、拝見させていただいた味噌作りでは前日から水に浸けて置いた大豆と麦を使う。


竹ざるの味噌作り


その大豆と麦を蒸して加工を進めていく行程で、何と登場するのが先程の二重編みになった大きな竹ざるなのだ。20キロにもなる蒸した麦を、竹ざるの上に広げて冷ましていくから結構な負荷がかかる。


麹菌


竹ざるの味噌作り


20キロの麦に対して20グラムの麹菌を入れて混ぜる、直径105センチにもなる竹ざるだから何人もの方が囲んで作業が可能だ。多くの方が力を合わせての味噌作りだから、少しづつく大きな竹ざるが求められるようになっていたのかも知れない。同じような用途にされる竹ざるでは、120センチ(4尺)や150センチ(5尺)等という今では見られないような竹ざるも残されている。


製麹機


1日目の麦の工程は、麹菌を混ぜて製麹機にいれたら終了、このまま翌日まで安置する。


大豆をつぶす


蒸して湯気の立っている大豆は機械に入れてミンチ状にしていく。ここでも活躍するのが竹ざるだ。


味噌作りの大豆


蒸した大豆は、これだけでも十分美味しいからどうぞと、勧めていただき口にしたが、なるぼとイケる(笑)。


二重バラの味噌作り


大豆は麦に比べると少し重量は少なくて7キロ、それに2.5キロの塩を入れて手で良く混ぜ合わせる。その後、プラスチック製の樽に移し替えて翌日まで安置させる。


大型竹ざる


地元では二重バラ(ふたえばら)と呼ぶ、このような大きな竹ざるを使った味噌作りは地域の伝統文化だ。他の県や地域でこのような竹ざるの使い方を見た事はない。先月16日の30年ブログでもお話ししたように、高知で編まれてきた竹ざるは「サツマ」と言われて鹿児島がルーツになっている。


広い竹林があり竹産業も盛んだった鹿児島では、当時様々な竹製品が作られていた。そして、同じく竹の技術者の多かった高知県からは若い職人が沢山出向いていた時代があったのだ。故郷に帰る頃には彼女もいたりするから、自分の父親くらいの世代に鹿児島出身のお嫁さんが多いのはこのせいだったようだ。


そんな結びつきのある両県で繋いで来た網代編みの竹ざるだけれど、高知では味噌作りに竹ざるは使わない。干しざるや、箕の代わりなど農家での一般的な使い方が主なので、底の六ツ目編みの補強は自然となくなり今日に至っている。





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