日本の皆様に言いたい、言葉の話せない竹に代わってお話しさせていただく。孟宗竹の歴史は思うよりずっと浅く、諸説あるものの日本に中国から渡ってきたのは300年足らず前の事だ。それまで、あのような大きな竹は無かったものだから、国中に引き合いがあり現在のように津々浦々にまで竹が広がっている。自分達が植えた竹が、必要なくなり増えているからと言って邪魔者扱い、悪者扱いは少し違うのではないか?
食料として、竹製品加工用として、あるいは観賞用として武家の庭に植えられてステータスシンボルとまでされていた竹なのだ。放置されてしまって、ネガティブな面ばかりが強調される孟宗竹だが、その美しさには惚れ惚れする。お時間のある方は、この30年ブログを読みすすめる前に、まずこの孟宗竹の姿をYouTube動画でご覧いただきたい。
伐採され、油抜きされた孟宗竹もこの通りの迫力と美しさだ。もちろん淡竹(はちく)や真竹も素晴らしいけれど、日本最大級の大きさを誇る竹だけがもつ雰囲気がある。
直径の小さい竹だと、同じように油抜きした根付きの竹でもこのように見た目が異なっている。
太い孟宗竹を使った花器は、伝統的に茶華道で広く使われている。竹肌や節をそのまま加工した自然の魅力、竹を最大限に活かしきったのが二重切り花器だと思う。自分の小さい頃には、大小様々な大きさの竹筒が数十本も店頭に並んでいて、さながら孟宗竹の竹林にいるかと錯覚する程だったが、いつの頃からか特別な方だけの限定された竹となってしまった。
それでも職人は多くを語らない、いつもの道具で淡々と仕事をこなしている。
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