皆さんは、山で猿に出会った事があるだろうか?猿山に観光に行くのとは少し勝手が違って、完全な野生なので木の上にいたりすると結構驚く。内職のおばちゃん達でさえ、手にしていた鉈を止めて一緒に見入るから、この辺りでは案外少ないのだ。だから、筍を喰い荒らしたり折って放り投げているのを見て、野猿の仕業だと言われても本当だろうかと思う事もある。
しかし、高知県でも少し山間部に行けば害獣駆除の対象となるほど生息しているので、職人さんの自宅で飼われているような孤児のお猿もできてしまう。子猿の頃に引き取られて来ているから、今さら山には帰れないそうだ。たまに、職人さんが山に連れて行っても傍らを離れない、頭を檻に近づけると毛づくろいしてくれる程の信頼関係がほほえましい。
そうこうしていると、近所の方が立派なツガニ(モクズガニ)を捕まえてきた。今が旬で食通の方が言うのに上海ガニより美味しいそうだが、自分は「ふわ」でしか食した事がないので比べようがない。ツガニを丸ごとミキサーにかけて大きな鍋で野菜と一緒に煮て食べるのだ。調理していると、カニ味噌色したふんわりしたものが浮き上がってくるので、通称「ふわ」。
「ふわ」を、川漁が得意な竹職人さんから、季節の便りのように頂いて家族で食していた。金属フレームに網を張った、ツガニ漁用のカゴに魚の切り身を入れて川に沈めると言う。その昔は、このような竹編みの筌を仕掛けていたのだろう。もっと小振りで、持ち手の付いた四ツ目編のカニ籠なども遺されている。
竹と猿とカニも、自然の暮らしの中で全ては繋がっている。猿は可愛いし、カニは旨い、サルカニ合戦は甲乙つけがたい。
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