高いっ!?国産竹笠の隠された秘密

竹網代笠


この美しいライン、編み込み、色合いをご覧ください、念願の竹笠が完成して本当に嬉しく思っている。似たような笠は沢山輸入されているので、皆様もきっとご存知だろうし、もしかしたらお使いになられている方もいるかも知れない。しかし、姿形は同じように見えて、実は全く別物というくらい国産竹笠には竹職人の英知と技が編み込められている。


竹笠職人


流れるような職人の手さばきが延々と続く、軽くてしなやかなのに、強い風にもビクともしない頼りがいを感じる強さは、この細やかな網代編みにある。この手仕事を知るだけで国産竹笠にかける情熱と時間の量がお分かりいただけるのではないだろうか。


網代笠治具


他の竹の仕事場では見る事のない独特の治具が印象的だ。竹笠には、一閑張りの工房で見つけて、どうしても復刻したくて、竹虎ウェブサイトでもご紹介している流鏑馬笠や、自分が使いたくで製作してもらった托鉢笠など、網代編み笠の種類があるが、それぞれ決まった形に編み上げるための型がある。


柾竹ヒゴ


竹ヒゴにも、言わなければ絶対に知られない秘密が隠されている。柿渋を塗布する前の素地の竹ひごなら分かりやすいが、普通の竹細工ではめったに使う事のない柾割の竹ヒゴなのだ。一本の竹ヒゴを注視していただくと、片側の色目が濃いのがお分かりになるだろうか?濃い部分は、竹素材で一番強い表皮に近い部分で、維管束とよばれる竹繊維が密集している所だ。柾の竹ヒゴを使う事により、笠は耐久性と軽さという機能性を高めている。自分が以前から愛用している竹笠は、もちろん国産だけれど柾の竹ヒゴではないので、竹節の部分が微妙に編み目に凹凸として出ているが、この新しく作った竹笠は見事にフラットになっている。


柿渋仕上げ竹笠


「高いっ!?」とお客様からお声を頂戴している。これは自分の責任で、価格の説明が全くお伝えできていない証拠だと反省した。日本のモノ作りは、皆様が想像するよりずっと空洞化が進んでいる。竹林から、細い一本の糸、いつ切れても不思議ではないような糸で、エンドユーザーである皆様のお手元に届ける竹細工は多い。


真竹


里山の竹でさえ、満身創痍の状態で日本全国あらゆる場所から竹の嘆きが聞こえてくる。どうして、この竹を見て異様さに気づかないのか?ここ数年いつも思っている。


竹虎四代目(山岸義浩)、YOSHIHIRO YAMAGISHI


それでも竹から離れられないのは自分だ。


竹笠、竹虎四代目(山岸義浩)


誰でもない、自分が好きで被りたい。そして、同じように感じる方は日本に何人かはいるはずだ。国産の本物の竹網代笠を通して、そんな方と繋がりたい。





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