「どうぞ、ご覧ください」、いつだったか古老の職人さんの工房にお伺いした時に、自宅の網代天井を拝見させてもらった事がある。見た瞬間に大きな声を上げてしうまほど驚いた、立派な網代編みが壁面と天井に張り付けられていた。隅には縄目も美しい煤竹があしらわれ、若い頃から竹職人としてやって来られた自信と誇りを感じた。
網代編みには種類があって、入ってすぐの所には升網代、奥には波網代、壮観である。実は、まったく同じように住まいの天井を竹で飾っている方に会った事があるが、どちらの方も昔ながらの竹人で竹を愛していた。
今ではあまり見かけないけれど、当時はこのように室内装飾に竹材を多用される方は多かったと思う。丸い竹を展開して、一枚の板状に加工をする会社があり、この技術で作られた壁材は自分の実家に残されている。竹を板状に伸ばすと、現代の竹集成材とは又違った形で竹節の模様が大きく入っていた。
一枚一枚異なった自然の形に面白い、のし竹盛り皿という製品もある。竹を完全に平らにしてしまったものではなく、元々の丸い形に戻ろうとする竹の力が微妙に働いて面白い凹凸の曲線ができる。
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