名品が現代に甦る、50年前に竹職人が隠した二本線

竹買い物籠、竹虎四代目(山岸義浩)


思えば、この磨きの竹手提げ籠は随分のユニークなデザインとなっている。底になるに従ってシェイプされた本体編みは、高度な技術が必要となるから、美しいラインは熟練職人の証でもある。特に他の買い物籠に見られない一番の特徴は、厚めに取った竹ヒゴをねじり込んで持ち手にしている所だ。


古い手提げ籠バッグ


更に、この持ち手を真鍮リベット留めだから、このような細工が他に全くないわけではないけれど、かなり珍しい。


新しい真鍮リベット


だから、どうしてこのような竹籠を創ったのか?実は、少し不思議に思っていた。ところが、何とこれには、見本の竹籠がある事を知る。


50年前の渋くなった真鍮リベット


元になった竹籠は50年も前の腕の良い竹職人作、名前までは分からない。しかし、すっかり赤茶けた色合いに経年変色した渋い風合い、落ち着いたリベットの竹籠に魅せられた若手職人かいるのだ。


竹手提げ籠底力竹


復刻するにあたって力竹は更に力強く、若手らしく進化させている。


50年前の手提げ籠


よくよく見ていないと、恐らく見過ごしてしまいそうだけれど籠本体上部付近に、薄い色合いのラインが二本入っているのがお分かり頂けるだろうか?


真竹磨きネジリ持ち手買い物籠


この竹籠は「磨き細工」と言って、竹の一番丈夫な竹表皮にできるだけ近い部分を使用すべく、表皮を薄く薄く剥いだ竹ヒゴが使われている。そこに、竹表皮の付いた竹ヒゴをあえて入れる事により、経年変色の違いからラインのように見えるデザインになっているのだ。


真竹磨きネジリ持ち手買い物籠


ここまで丁寧に復刻するとは物凄い惚れ込みようだが、竹籠の二本線は新しい間は言われないと気づかない。クッキリと見えるようになるまで、じっくり楽しみながらお使いいただきたい手提げ籠だ。





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