竹のある里山の景色は本当に心が和む。窓を開け放した部屋に腰を下ろしていると、遠くに牛の鳴き声が聞こえてくる、フワ~ッと田んぼを渡ってくる風は、真夏と言うのに何とも心地よい。このお宅にはクーラーがないと言われているのも納得する。自分はエアコンの冷え過ぎる部屋は苦手だ、暑い季節でも日陰にいれば結構涼しい、この辺りの暮らしは素晴らしい。向こうの竹葉が揺れている、又いい風が入ってきた。
竹は人の暮らしと共にあった。今では放置されてしまって迷惑な存在に思われている竹林も、当時はわざわざ先人が植えて増やしたものなのだ。曲がりくねった細い山道を、奥へ奥へと登って行った先、明るく開けた場所に人の気配など微塵もないけれど、「ひいじいさんが、ここに鶏小屋をこしらえて沢山飼っていた」車を運転してくれた山の職人がつぶやいた。今ではこの孟宗竹が昔の生活を忍ばせてくれる。
忘れられた竹林もあれば、役立ち続けている竹林もある。森林面積のわずか0.6%しかない竹を悪者扱いする前に、元々は自分達の生活に活かすために植えたものであり、感謝してもしきれないほど竹の恩恵を受けてきた事を忘れてはいけない。今日も人と共存している竹は「竹」+「二人」=笑っている。
コメントする