わらいずみ職人の仕事

わらいずみ、飯櫃入れ、竹虎四代目(山岸義浩)


わらいずみを知る方は案外少ないのではないかと思っている。飯櫃入れとも言う事があるので、そう聞くと一体何に使うのかさえ分からなかった人でも、おぼろげに用途は想像がつくのではないだろうか。昔は今のように保温機能の付いた炊飯ジャーなど無かったので、炊いたご飯を保温するための道具が必要だった。そこで、熱を逃がしにくい藁を編み込んで作る、わらいずみが活躍していたのだ。


わらいずみ職人


小さい頃に親戚の農家に行くと、囲炉裏端に煤のついたわらいずみが置かれていたのを良く覚えている。思い起せば小さい頃には、近所の田んぼにには稲刈りした後の藁を田んぼに干していたり、積み重ねたわらぐろが普通にあった。本当に身近な素材だったから、様々な生活道具に使わていた。自分の場合はあまりに普通すぎで見逃してがちだけれど、縄の素材が藁だった、これは現在でも竹皮草履の鼻緒の芯としても使われている。


藁打ち木槌


さて、この藁をわらいずみ等の生活道具に活用する場合、まず柔らかくして使いやすくする必要がある。この藁打ち木槌は、そのための物で藁をまんべんなくトントン叩いてソフトにしなやかにしていく。竹皮草履の場合には専用の藁打ち機械があるので、関心のある方は動画でご覧ください。


わらいずみ、飯櫃入れ


実は竹はイネ科なので、藁とは親戚のようなものだ。美しい竹細工には良質の竹材が必要不可欠だけど、同じようにわらいずみにも適した藁素材が必要で、職人は山間部の田で育ったもの、海沿いのものなど色々使い比べて今に至っていると言う。


わらいずみ製造


完成まではまだまだ日数を要する、わらいずみの製作の様子をYouTube動画でご覧いただけるようにした。地道な手仕事を是非ご覧ください。そして、今度お鮨屋さんに行かれる事があったなら、カウンター越しに大将の手元に注目してみてください、きっとこのわらいずみが置かれています。





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