郵政省は、昭和24年(1949)に逓信省を改編して設置されたそうだから、この山葡萄のバッグはもしかしたら、まだ逓信省と呼ばれていた頃に使われていた物かも知れない。それくらい昔の郵便配達員の方が使われていたと言う山葡萄が残されている。封筒やハガキなどは、今以上に大切な通信手段であり、配達員の皆さんにとっては連日大変なお仕事だったのではないかと思う。責任の重い激務の中で使う鞄は、それこそ丈夫さが何より求められていただろう。
山葡萄の手提げ籠バッグは、今では海外で沢山製造される程人気となり、様々な技巧を競うような籠も多々見かけられるようになった。しかし、元々は東北の農作業や山仕事用として編まれた生活道具だ。その堅牢さは、竹をはるかに凌ぐほどだが、更にこのバッグには分厚い板の補強が入れられているから驚く。
このリベット留めはどうだろうか?強靭な山葡萄に金属を使うなど初めて見た。ギッシリと詰め込んだ郵便物を、肩に掛けた紐を食い込ませながら走っていく様子が凄い迫力で伝わってきた。
まさに黒革のような色艶、質感、見た目どおり触った感触も、堅牢な革そのもののようだ。こんな山葡萄を見せられると、自分が20年や30年愛用している山葡萄手提げ籠やセカンドバッグなど、まだまだヒヨッコだと思うのだ。
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