竹は一本で立っている植物ではなく、地下茎でそれぞれの竹同士が縦横無尽に繋がり竹林を形成している。だから強い、地滑りも起こりにくく、「地震の時には竹林に逃げろ」と言われる由縁である。そんな強靭な竹根を使ったステッキは、節が短く詰んでいて見るからに丈夫そうに思えないだろうか?実は本当に耐久性が高いのだが、さすがに竹だけあって、しなりがあるから体重をのせた時の、スッと身体を支えてくれるような優しさは単なる棒とは全く異なる。
かの有名な、世界的喜劇俳優チャップリンの愛用する竹根ステッキも日本製だった。まるで飾りかと感じてしまうような、かなり細身のステッキを持っていたが、あの杖も曲がる事はあっても折れたりはしない。
ところで、竹根、竹根と話しているけれど、竹林ではどんな風に見つけられるかと言うと地中だけでなくて、このように地上に出ていたり、切り立った地面から突き抜けて伸びていたりする。
今でも皆さんの周りで普通に見られるのは、このような小さな竹根印鑑だろう。細いものは海外からのモノを中心にあるのだが、やはりステッキ用にできるような大きな竹根は見当たらない。
試しに昨日の30年ブログでもご紹介した、虎竹八ツ目編み傘立てに入れてみると、なかなか格好がよい(笑)。
数本ある竹根ステッキだけれど、実は一番気に入っているのは一本だけしかない根曲竹で作られた竹ステッキだ。普通は使う機会の少ない根曲竹を、わざわざ持ってきて杖に加工しようとした事があるが、全く上手くできない。持ち手の曲げの部分が、国内最高レベルの熟練職人でもお手上げだと言うので、これは今後の大きな課題として残ったままなのである。
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