国産竹串がようやく復活した。こう聞いて、皆様はどのように感じられるだろうか?竹串なんか、どこにでも売っているし店頭から消えた事など一度もないではないか、何が「復活」なのか?焼鳥屋さんはじめ、食材に関わる方々なら少しはこんな事を思われるかも知れない。しかし、ほとんどの方は竹串など考えた事もないから、最初から意味が分からないのではないかと思う。
しかし、竹串の事を意識されていない日本に暮らす大多数の皆様も、実は日常的に竹串を手にされている。スーパーに入って総菜売り場を歩けば、和食、洋食、中華それぞれに竹串を使った食品が並ぶ。そもそも串の種類も、丸い竹串だけではない。その他にも、鉄砲串、平串、角串、団子串、田楽串、松葉串、結び串など一部をご紹介しただけでこんなにある。
そんな多くの竹串がある中で、やはり一番多用される丸竹串。日本で製造できなくなった、この丸竹串を何とか国産の竹を使い、日本の竹職人の技で復活させたのだ。竹は表皮部分が維管束(いかんそく)と言う繊維が密集していて強い、だから竹皮を2分残したカマボコ型の竹串にした。
竹串はまず先端の尖りが大切だ、加工機械を操り大量に作らねばならないが、まさにここが難しい。まだ、竹串など国産か知らないけれど関係無いと思われている方、もうすぐ土用の丑の日で鰻を食べられるのではありませんか?大量に消費される鰻の蒲焼には竹串が使われているから、多くの日本人は知らなくとも竹串のお世話になっている(笑)。
日本では孟宗竹の竹林面積が一番広いものの、筍などに利用される以外、竹細工や竹製品に活用される事は本当にごく一部だ。畑としてではなく、たくましい自然の中で大きく育っている孟宗竹は、人様の役に立ちたいと願っているように思う。そこで、多くの竹串には孟宗竹が使われている。ところが、竹皮付竹串は表皮の美しさにもこだわっているので何と真竹を使う。
以前、製造されていた国産竹串工場の活気があった頃の様子を動画に撮っていた。丸串の他に角串がある、小さい頃の竹虎の工場を彷彿させる、竹を切る音、叩く音、機械が回る、手慣れた手付き、あの職人さんが語りかけてくれる、久しぶりに見て涙が出た。
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