いつもの竹職人の仕事場に入る土間に、無造作に転がっていたのは白竹で編まれた竹玉(たかだま)だ。最近、球形の竹編みはペンダントライトや飾りとして大小色々なところで見かける事もあるけれど、この竹玉は他とちょっと違う。美しい白竹を厳選しているだけでなく、竹のヒゴ幅を違えてセンスよく作られている。聞けば、このバランスに仕上げるのにかなり苦労されたようだ。
それもそのはずで、実は職人本人が元々照明に使う竹傘を専門とされていたのだ。昔の日本の住宅には、普通に竹照明が使われていて大手電機メーカーのカタログにも国産竹細工が掲載されていた。多い時には4~5人の職人と共に分業体制を取って数百という竹灯りの注文をこなしてやって来られた方なので、室内を照らす竹玉には思い入れが人一倍なのだ。
竹虎でも虎竹を使った竹玉灯りを何度か製作した事があるけれど、これほどの完成度のあるものではなかった。この白竹玉に灯りが入るとどんなんだろうか?前々から見たいと思っていたところ、ちょうど秋に拝見できるチャンスがありそうなので喜んでいる。地元で有名な格式のあるホテルの数室にだけ使われているそうなので、いずれ皆様にもご覧いただきたい。
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