この編み目の粗い箕はスミトオシとか炭篩(すみふるい)と呼ばれる炭窯の職人が使う竹箕の一種である。実は炭を焼くのは大変で、高度な技術が必要とされる。熟練の炭職人でも今頃の雨が続いて湿気の多い時期には、いつものような炭が焼けないと嘆く事もある。同じ炭窯の中でも綺麗に焼けている炭もあれば、そうでない炭もあるのだが窯出しされた炭は灰や小さな破片を落とすために、このスミトオシにかけて選別しているのだ。
今ではこのような道具は作る事もないし、極一部を除いては、ほとんど見られなくなった。竹虎でも竹炭バラを選別していて最終的に一番細かい粒状のものを選り分ける時には金属製の網を使っている。
このような箕は、かつては農作業に欠かせないものであったし四国だけでも土佐箕、伊予箕、阿波箕、讃岐箕などあって、西日本には33カ所もの産地があったそうだ。ところが需要の減少と共に急激に姿を消した原因のひとつには、竹細工の中でも作りが独特で製作が難しかった事、そもそも伝承されてきた職人が少なかった事などがある。
それだけに無くなってしまった箕にロマンを感じる人は今でもいるのではないだろうか?以前、日本の南の端は鹿児島の箕と東北宮城の竹細工が酷似している動画を撮った。関心のある方は是非ご覧いただきたい。
必要とされ続けていたから、讃岐箕と共に最後まで残っていた土佐箕。伝統は今でもここに残されている。
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