青物細工と言って、伐採した真竹の表皮を磨く(剥ぐ)事もなく、油抜き(湯抜き)する事もなく素材そのままに籠や笊に編み込んでいく技法がある。昨日もそんな話をしたばかりだが(笑)、日本の暮らしは竹と共にあり、まさに「一日不可無此君(竹無しでは一日も暮らせない)」だったから農作業、山仕事、海や川の漁、日常生活には様々な竹製品があふれていた。そして、その多くは機能性、実用性が一番、もっと言えば量も必要だから竹表皮が付いたまま加工するのが普通だった。
良くご覧いただきたいのだか今回の青竹手付き収穫籠は、籠全体に青い竹表皮付の竹ヒゴが使われている。竹は竹表皮部分が一番耐久性があって強い、竹表皮を取った内側の竹ヒゴを使う場合もあるので、実は贅沢に竹材を使った籠でもある。
武骨に編んでいく畑で使われる収穫籠と言えども、口巻を見れば職人の腕前がいかほどがすぐに分かる。
更に、この底部分の力竹のあしらいはどうだ。惚れ惚れする、傷むまで使うとなれば何年かかるだろう?
竹の質もいい、やはり竹はイネ科だけあって寒暖の差がある山間部に良質な竹材がある。硬く、粘りがある真竹だけれど、それでも近年は虫に注意していて旬の良い時期の竹しか使わない。だから今の在庫がなくなれば竹を伐って編み始める年末から新春までは手に入らない。
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