美しい煤竹に出会った、この光沢のある色艶にはドキリとしてしまう。一体こんな竹はどこに生えているのだろうか?そんな風に考える方がいてくれたら嬉しい(笑)。普通は、これほどまでに鬼気迫るような力強い竹材をご覧になられても何気に通りすぎる事が多い。
この竹が、どこに生えているのか?実は世界中の竹林を探してみても、この竹が成育している所はない。煤竹の生まれる場所は古民家の屋根裏なのだ、囲炉裏の煙に100年、150年、200年と長い時間をかけて燻されている内に、このようなえも言われない輝きを放つ竹になる。
だから煤竹の良いものは、火を焚いている期間が長い寒い地方に多い。古い民家を解体する時に、大切に運びだされる煤竹は長い間の煤がこびりついて真っ黒になっている、それを丁寧に洗って注意深く火抜きをする。虎竹の油抜きをするガスバーナーでは火力が強すぎるので、もっと弱い火を使うのだが、そうすると人の手では作り出せないような色合いの竹肌が表れてくる。
何か透明な塗料でも塗っているのですか?油抜きした竹を見て質問される事があるけれど、この輝きは竹の持つ自然の光だ。自分には竹のダイヤモンドのように見える。
「時間職人」が丹精こめて仕上げたダイヤモンドに、更に匠の技が加わるとどうなるのか?たとえば渡辺竹清作の煤竹パーティーバック、年に一度自分が手にして初詣に行く自慢の逸品だ。
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