竹の危機!タケノコムシか?日本の竹林の現状

真竹、タケノコムシ(ハジマクチバ)


「竹の危機ではないか?」わざわざ熊本から来られた職人さんは深刻な表情だった。竹虎とは祖父の時代からのお付き合があり、熊本から長崎まで九州一円で竹伐採を続けてきた数少ない竹一筋の方が手に持っているのは、一節一節に一定の間隔をおいて小さな穴の開いた真竹だ。


虎竹の里、イノシシ跡


近年、どこの竹林でも増え過ぎだイノシシによる筍の食害があるが、同時に竹の根元に身体を擦り付けてキズにしてしまう被害も多い。泥遊びの好きなイノシシが、身体が痒いのか竹林のあちらこちらに跡を残している。だから「寄生している虫を、イノシシが広めているのではないか?」一緒に山で働く職人の奥さんが言うのも納得できる。


虎竹の里、イノシシ跡


しかし、イノシシが竹にキズを付ける事はあっても竹の害虫との関係はあるのだろうか?


タケノコムシ(ハジマクチバ)、宮崎


鳥が突っついているのでは?そんな話もあったそうだ。硬い竹表皮に、こんな穴を開けるなんてと突拍子もないように聞こえる。色々な風説があるのは、それだけ被害が大きいという事だと思った。


タケノコムシ(ハジマクチバ)、宮崎


実は昨年の秋に宮崎の竹林で、やはり同じように小さな穴の開いた真竹を見せてもらった。タケノコムシの食害ではないかとの事だった。宮崎県と熊本県は隣同士だし、症状も酷似しているので恐らく同じ害虫によるものだろう。


宮崎真竹シミ


実は、あまり知られていないが真竹の竹林にはテング巣病が広がり酷い状態だ。これは九州に限った事ではなく、東北から関東、東海、関西、中国、四国と見かけない所はない、そんな抵抗力の弱まった竹に虫が入りやすくなったのではないだろうか。


虎竹の里、竹虎四代目(山岸義浩)


熊本の竹林での虫害は、特に昨年から目立ちはじめ、今や伐採をしている竹林で被害のない所はないと山の職人は言う。「虎竹は大丈夫ですか?」近くの竹林では真竹だけでなく、虎竹の仲間の淡竹(はちく)にも被害が出ているからと心配して頂いた。虎竹の場合は、テングス病も、このような虫害も今のところ見られないが今後は厳重な注意が必要だと感じている。





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