孟宗竹の材料取りと土用干し

エビラ籠


さあ、ソーシャルイノベーションサミットばかり言っていられない。帰国して早速今日はエビラだ、元々養蚕の盛んな頃に蚕棚として使われていたが、用途がなくなり野菜干しなどに転用されるようになった物だ。先日も農家さんの庭先で、当時の品と思われるエビラを使っているのを見かけたから随分と大切にされている。幅が90センチ、奧行き60センチのサイズが基本だ、しかし普通のご家庭用としては少し小振りな方が良いので幅60センチ×奧行き45センチのハーフサイズも製作している。


竹編み平籠竹ヒゴ


エビラの底部分は通気性と吸湿性に優れた網代編み、あるいは四ツ目編の竹材が使われる。高知では他の地域ではあまり編組細工には敬遠されがちな孟宗竹を伝統的に用いられてきた。硬く、加工しづらい面もあるけけど厚みのある身部分からは竹ヒゴが数枚取れるという利点もある。


エビラ竹ひご


孟宗竹は淡竹や真竹に比べて筍が生えるのが早い。筍を育てる養分を蓄える竹を狙って害虫が来るので、孟宗竹の伐採時期は一番早くて晩秋には終わっていなければならない。


エビラ竹素材


伐採して保管して置いた竹でも、湿度や気温の高くなる時期になるとカビてしまうため例年早めに竹ヒゴを取って乾燥させておくようにしている。


孟宗竹加工、竹割


3月21日の30年ブログ「孟宗竹のシミ、竹林の荒廃、竹の開花、そしてテング巣病」で、温暖化によって巨大化している孟宗竹の話をしたけれど、前はあまり見られなかった竹ヒゴへのシミが多くでており今年は歩留りが良くない。


竹ヒゴ取り


有難い事にエビラはご家庭で梅干しを漬けられる主婦の皆様に高い評価をいただいている。毎年、土用干しの様子を届けてくださる方もおられて見ているだけで楽しくなるけれど、全国にはこれだけ懸命になって梅を漬ける方がおられると言う事なのだ。


土用干し、エビラ


もちろん、ご家族のために作るお袋の味、安心安全は当たり前だから、道具も顔の見える国産をお選びされる。そんな方々のご要望に応え続けたいと思えば、良質の孟宗竹を生む竹林は欠かせない。





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