人の暮らしを支える、生業の竹林

孟宗竹の竹林


世界に約1300種もあると言われる竹だが、そのうちの半分近くの600種類がこの狭い日本に成育している。この国が、いかに豊かで美しい自然に囲まれているかを象徴的に表していると思う。さて、そんな多品種の竹笹がある中で主に竹細工や竹製品として活用されているのは、孟宗竹、真竹、淡竹のわずか3種類しかない。だから一般的に皆様が竹と呼ぶ場合にはこの3種類の内のどれかを指して言っている。


しかし、このわずか3種類の竹が生える竹林には、それぞれの事情により見た目や性質が異なっている。ひとつは筍を採取するために、手入れされ陽当たりが良いように伐採、管理された畑と呼びたいような竹林。また、本格的な畑とまで行かずとも、里山にあって家庭菜園のようにおじいちゃんが一人でコツコツと世話をしているような竹林もある。その他、庭園や観光地には観賞用として見せるための竹林があり、見栄えが良いように間引きされ多くの人の目を楽しませている。


孟宗竹


そんな一方で、成育の早い竹が完全に放置されて荒れ放題になっている竹林がある。立ち枯れてしまったり、風で倒された竹が斜めに交錯して、もはや竹林本来の縦のスッキリたラインは見られない。日中でも薄暗いほど鬱蒼と茂り人の立ち入りを拒んでいるかのような竹林、このような竹林を竹藪と言う。そして、そんな悪い景観の竹を、何とか間引いて風通しの良い美林にしたいと手入れをされている竹林なんかもある。


ところが本日ご覧いただいている竹林は、これらのどれでもない。筍を採るためでもなく、見せるためでもなく、景観のためでもない、人の暮らしに役立つ製品のための孟宗竹たちだ。景観を維持するための竹林のように、伐り倒した竹の使い道に困ったりする事はもちろんない。竹製品に加工するために伐採して、運ばれていく竹は姿形を変えて全て生活シーンで生きている。だから、ここの竹林では竹たちも笑っている。




そうそう、30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」をご覧いただく皆様なら、簡単な竹の見分け方くらいは是非知っておいていただけると嬉しい。このYouTube動画を見ると、誰かに教えたくなる竹の見分け方が分かります(笑)。



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