何年も前になるけれど、パリに行った時に案内いただいたお店の竹フローリングを思い出した。竹のフローリング材や壁材は中国などで大量に製造されていて、日本の住宅や商業施設でも広く見られる建材だ。しかし、普通のフローリング材は一定の幅に割った竹材を貼り合わせて作られる集成材なのに対して、ここの床に張り詰められているのは、丸い竹を平たく伸したものだった。
細く割った竹を貼り合わせる集成材も良いが、竹により近い形でそのまま平らに加工すると更に面白味があるものだ。ふとパリの竹フローリングを思い出したのは、虎竹ヒシギ張りの壁面の写真を見たからだ。ヒシギは金槌のような専用の道具でタンタン、タンタンと叩いて竹を細かく割り伸ばしていく、竹虎で袖垣などに沢山使っていた当時は10名近くの内職さんがいて専用の別工場まであった。
しかし、この床材は細く割っているのではなく丸い竹に切れ目を入れて押し開いたような形だ。同じような竹加工を拝見した事があるけれど、熱を加え強い力でプレスして板状にしてるのだと思う。
階段まで竹だから楽しくなる。そう言えば竹フローリング材にはヒールの跡が無数についていたりするが、ここでは見られなかった。足に伝わる感触も硬く心地良かったが、竹で一番強度のある表皮部分を使っているのでキズへの耐久性も高かったのかも知れない。
それにしても幅と高さを揃えられているので節も削られてはいるが、しっかりと竹節がデザインとして残っているから本当に竹が敷き詰められているようだ。つくづく変幻自在の竹と、その魅力は尽きないと思う。
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