網代編みの竹ざるは、材質の硬い孟宗竹でしっかり編まれているので、直径が60センチという大きなサイズだけれど少しも弱さを感じない。更に、この「ふたえばら」と呼ぶ二重竹ざるは、裏側に補強のための六ツ目編みを入れるから最強なのだ。このような竹素材そのままに編まれる籠やザルを総称して「青物細工」と言う、竹林から伐採した竹をそのまま編んでいくから一年中素材に困る事はないように思われる方がいる。しかし、実は冬場の旬が良い時期にしか竹を伐らなくて、竹材がいつまでも使える訳ではないので今頃が一番心置きなく仕事ができる季節なのだ。
たまにお問合せをいただく、竹ざるの作り方は動画で紹介もしているので、ご関心のある方はご覧ください。
網代編みを六ツ目編みで補強する竹編みは珍しく、この二重編み竹ざるの他には寿司バラくらいだと思う。寿司バラとは、かなりレアな竹ざるで何と寿司飯を、この細かい竹網代編みの竹ざるで作るのだ。九州でも鹿児島県、宮崎県だけに見られる伝統的な生活道具で乾燥を防ぐための蓋も付いていて、底編みも上蓋も同じように六ツ目編みで補強される。
寿司バラの素晴らしい所は、網代編み部分に蓬莱竹が使われているのだ。節間の長い竹を使用することによってフラットな編み目にして使いやすさを考えている。九州や四国など豪雨地帯の河川を守るためにも植えられてきた蓬莱竹だ、やはり他の土地で出来る竹製品ではない。いつだったか、お一人になってしまった寿司バラ職人さんが譲ってくれた最後の籠は、青さがすっかり色褪せて飴色に変わりつつある。ふたえばらも今の瑞々しさは無くなるが、むしろこれからが竹ざる人生の始まりだ。
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