こんな日が来るのではないかと思っていた。夏の冷酒用としてファンも多かった青竹酒器を今年は確保できなくなったのだ。この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」では何度が申し上げているが、青竹とは真竹の事で瑞々しい色合いが気持ちいい、この青さは日本人に親しみがあり、大好きな色だと思う。
同じ頃合いの太さの竹に淡竹(ハチク)があるが、竹表皮にロウ質の被膜があってこのような美しさはない。ところが、案外知られていないけれど、こうして真竹を酒器や料理の演出に使う場合には竹を生鮮野菜のように扱わねばならない。と言うのも、真竹の青さは抜けやすく切り口からみるみる変色して白くなってしまうからだ。
切り口から見える身の部分の白さは、表皮の青さとのコントラストで素晴らしいのだが、竹肌の青さが白くなってしまうのは興ざめでしかない。だから、青竹酒器はお客様にお届けする日時合わせて伐採する。一本の真竹が無駄にならないように元の太い部分で酒器を、ウラ(先端)の細いところで盃を作っている。スピードとの勝負と言わんばかりに、出来るだけ乾燥に注意しながら素早く進めて配送せねばならない。
竹林を伐採する職人が高齢化し、良質の竹材が減っている中で思えば今までよく続けられたとも言える。本来、一回限りの使用しかできない贅沢な器であったけれど、これからは更に難しくレアな酒器となりそうだ。
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