竹箒も皆様に馴染のある竹製品のひとつだ。身近にあるので、普段はあまり考える事もない日用品でもあるが、海外からの輸入品ばかりで現在では国内で作る職人も本当に一握りしかいない。外国製に比べて国産箒は竹穂が強く耐久性もあって一部のお客様からは評価が高いものの、製造数は年々減っている。
職人の高齢化はもちろんあるけれど、箒には今となっては貴重品である竹の穂が使われているから材料不足の側面も大きい。案外、考える事がないようなので説明すると、箒の先に使われている竹枝は箒用に伐採している訳ではない。孟宗竹を伐採して稈を山出しした後、枝打ちされて竹林に残った副産物の竹穂を有効活用して作られてきたのだ。
この画像の竹枝は、黒穂と言って黒竹の枝なので高級品だ。黒竹を大量に伐採するからこそ多くの枝が集まっていた。当時は10トン車に山積みして運んでいたのだが、かさ張る竹枝を専用の型にはめて5貫(約18.75キロ)束にするのに職人4人がかりで何日もかかっていた事を思い出す。
箒に使う竹穂は、このような孟宗竹の竹枝だ。何となく知っているようで、このような素材が箒になると言うのは実際にご覧いただくと良くご理解いただけると思う。先の黒竹のように孟宗竹の枝も同じ理屈で、竹を伐らないから材料は集められない。
竹穂が少なくなり、日本製箒に希少価値が付いてきたので柄も昔のようにB級品の虎竹を油抜きもせずに使うような事はしなくなった。しっかり持ちやすい頃合いの黒竹を使う、思えば少し前なら考える事もなかった変化ではある。
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