こちらの籐で作られたスツールを、もしかしたら一度や二度はどこかでご覧になられた事があるのではないだろうか?確か随分と昔の事ではあるが、とある女優さんか誰かが鼓の形をした椅子を所望されてから作り出した製品であると聞いている。その後、似たような輸入品が広く出回るようになり、多くの方の目に触れる機会も多くなったけれど、この椅子は古い国産のもの。良く見れば籐の骨組みや風格が違う。
籐細工の歴史を紐解いていくと、戦後のGHQなどまで関わっていて面白い。
日本に滞在する米軍が多かったが、当時の日本には手頃な家具がなかったそうだ。そこで、目をつけたのが東南アジアから沢山調達できるようになった籐だった。
竹に比べて加工しやすく耐久性もあることから、椅子などの製作を依頼された竹職人が次々に籐編みをするようになり、籐細工が盛んになるうちに家具から小物などの製作もされるようになる。
暑い季節には重宝される籐まくらもそんな中のひとつ。案外、海辺の町で竹細工をされている方がいるのは大波で漁ができない場合などの内職から始まっているらしい。昔から網を作ってきた漁師さんたちの手先の器用さが職人仕事にマッチしていたようだ。そう言えば、鰹の一本釣りで有名な地元久礼の港町にも、かってはシダ屋が2軒もあったと言うので内職で籠編みをしていた時代があったのかも知れない。
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