背負い籠も昔から生活の中で、仕事で多用されてきた道具のひとつであり、軽さと強さを兼ね備えたばかりでなく、しなやかさがあって扱いやすい竹は持って来いの素材だった。そこで、全国各地で身近にある竹材が使われ編まれてきたのである。最近のお気に入りは、マダケ(矢竹)と淡竹を使って対馬で編まれた背負い籠、矢竹など笹の仲間は本当に粘りがあり重たい荷物を運ぶ時など頼りになったろうと思う。
タンガラと呼ばれて、当時は炭鉱で石炭を運ぶために編まれていた背負い籠は圧巻だ。熟練職人が一心不乱に編み上げる迫力の仕事を是非ご覧いただきたい。孟宗竹で編まれる一本子、真竹で編む二本子があり、籠一杯に入れた石炭を逆さにして下す時に役立つ縁部分に飛び出たアタマが特徴的だ。
根曲竹の背負い籠も昔なら沢山編まれて流通していたけれど、今では少なくなり本当にレアな籠となった。根曲竹の六ツ目編みした玉入れ籠を、逆さにしてサイドテーブルのようにして何年も愛用しているが、少しくらいの重さの荷物にはビクともしない。
行商のおばちゃんを思い出す角型の背負い籠や、細くて長い山芋籠など少しご覧いただくだけでもバラエティ豊か、日本の竹文化が豊かだった証だろう。
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