赤茶色になるまで使い込んだ鰻魚籠は風格さえ感じさせる堂々とした美しい編み込み。だけれど、籐でしつられえた口巻部分が外れてしまっている。四ツ目底から立ち上がってきた幅広の竹ヒゴに、細い繊細な竹ヒゴをゴザ目編みして作られた籠だが細い竹ヒゴ自体も弱くなっていた。
実は同じ魚籠を持っている。近くのお年寄りから頂いたものだが、昔から高知県では海で、川で愛用されてきた馴染の籠のひとつなのだ。自分の持つ籠の力竹の底部分、傷みやすい四隅には錆に強い銅線を巻き付けて補強されている、これも高知では良く見られる技法だが、今回の魚籠は力竹が銅板でおおわれていて面白い。
本来なら使われなくなってしまう竹籠だけれど、こんなに手間のかかった魚籠をそう簡単に失くしてしまうのは残念すぎる。「もったいない」精神で当たり前のように竹細工は手直しを続けて長く使われてきた。結果的にサステナブルな代表的な製品の一つとも言えるのではないかと思う、この籠もどんな風に蘇るのか是非ご期待いただきたい。
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