メガソーラーシステムの山

ゴルフ場


山肌を削って造成されたゴルフコースを見ていると、小さい頃からアトピー体質の自分が、身体を掻きむしった痕のようにも思えてくる。しかし、これだけ密集して沢山のコースが作られているのは、やはりゴルフが人気のスポーツなのだろう。まあ、健康的に運動もできるし、山を切り拓くと言っても芝生を植え、緑を適度に残しているからまだ良いのかも知れない。


太陽光発電


もっと気になるのは、最近目立っているメガソーラーシステムだ。山林を開発するという点ではゴルフコースと同じなのだが、見た目の景観が随分と違う。太陽光を利用する環境に優しい発電という事で、全国各地で見られるようなった。風力発電同様に自然の力を活かした発電なのでエコだと言う方もいるし、問題があると言われる方もいる。


ソーラーパネル


どちらにも言い分があるように思えて個人的には判断できないけれど、緑に囲まれた環境が気に入って引っ越して家を建てたら、ある日突然に森の木が倒されて一面ソーラーパネルになったと嘆かれている方がいた。だから、少なくとも景観に配慮した開発は必要だと思う。


竹林


どこだったか忘れたけれど、急こう配の山肌に設置されたソーラーパネルを見た事もある。パネルの下には防草シートが敷かれていたけれど大雨の影響など大丈夫だろうか。が天然の鉄筋コンクリートとして守ってきた里山の山々が、手入れされずに荒廃して昔のようには機能していないと感じるものの、眺めた竹林から複雑な声が聞こえてくる。



竹刀の真竹

竹刀用真竹


子供の頃、虎竹の里ではチャンバラごっこと弓矢作りが盛んだった。山出しされる竹が大量にあって選別作業に追われていて、刈り取られてレンゲの花が一面に咲いていてる田んぼにまで虎竹が広げられていた。あちらこちらに竹の端材が落ちているので、刀や弓の材料に事欠かなかったからである。チャンバラなら、そのあたりの切れ端で良かったけれど、剣道の道を極める達人たちの道具となれば、そうはいかない。


竹刀用真竹


竹刀なども輸入品が多くなっていると聞いていた。学生時代に剣道部の友人から竹刀を借りた事もあるが、そう高価なものではなかったので、きっと海外からのものだと思っていた。けれど、実はこだわりの竹刀はやはり国産のものがいい。竹は身の厚さから孟宗竹だと思われる方もいるかも知れないが、実は真竹の元の部分だけが使われている。繊維が緻密でしなりもあり、割れやささくれが少ないからだが、こんな大きな真竹を揃えるだけでも本当に凄い事だ。


竹刀用真竹


そう言えば、別の竹屋さんで竹刀用の竹材をメーカーの方が来られて選別されているのに出くわした事がある。思い出せば確かに厳しい選りようだった。


竹刀用真竹


竹の厚みはもちろん節間の長さまで決まっている、良質の竹だと思って伐採しながらも使えない竹はかなり多いと思う。その上、竹刀には重さの測定があって軽い竹は使用できないから更に難しい。現在、真竹にはテング巣病が蔓延しているので、その影響も少なからずあるだろう。


竹刀用真竹


二階に大事に保管されている竹材を見上げてみる。通常なら竹の晒しには少量の苛性ソーダを使うが、それすら入れず湯抜きした、まさにこだわりの竹材だ。努力の結晶などと言えば、ありきたりに聞こえそうだが、この何倍もの竹からようやく出来あがった竹刀の材料たち、しっかり縛られて束になった状態で乾燥されながら竹刀になる日を待っている。



今夜放送!テレビ高知「キテレツが咲く」



今夜放送のテレビ高知「キテレツが咲く」では、高知県出身の豊ノ島さんが竹虎にお越しになられる所から始まるのではないかと思っている(どんな編集になっているか分かりません)。そこで、新しく開発した虎竹空気清浄機やソーシャルディスタンス虎竹帽子登場など虎竹の里ならではの製品をご覧いただくのだが、高知と言っても豊ノ島さんは西の端にある宿毛(すくも)のご出身なので、恐らく虎竹自体も初めてではなかっただろうか?それでも、世界竹会議(11th World Bamboo Congress Mexico)の際にはメキシコまで運んで走ってきた竹トラッカーには、いたく感心いただいて乗車いただく事ができた。現役時代から言うと少し痩せられたとは言え140キロの巨体!竹トラッカーの車体が沈んで底を擦っていた(涙)。


虎竹アーマー鎧


しかし、何と言っても見どころは、角界随一の美声と名高い豊ノ島さんとカラオケ対決だ。須崎名物の鍋焼ラーメンを食べて、早く帰りたがっている豊ノ島さんだったが一曲だけお付き合いいただく事になった。さて、対決の行方は!?どうかテレビでご覧ください。


虎竹ボックスカートでスペインレース挑戦


その後、お笑い芸人FUJIWARAのお二人や、プレゼンターの安藤桃子さん、豊ノ島さん、出原 幸典さん、柴田恵介さんらのおられるスタジオに登場するのはスペインのレースでも大絶賛された虎竹ボックスカートREIWA-125号。この車体も、虎竹の里での練習からスペインのレース、準優勝した東京で開催のRed Bull Box Cart Raceなど散々走ってきたが、まさに神のようなタイミングでスゴイ事が起こった!これは話せない、テレビでしか観られません(笑)。





ちょっと珍しい平口ざるには3種類の仕上げあり

平口ざる


竹虎の本店は昭和45年3月にオープンしたので、皆様のお陰で53年もの長い間に渡って営業させていただいている事になる。決して順調ではなかったか店舗運営が今まで続けられたのは、ひとえに先人の力の賜物なのだが、半世紀の歴史の中では竹細工、竹製品と一言では片づけられない様々な変化があった。当時、竹製品は今までよりもずっと日常的で人の暮らしに近いものだったから、手作りとはいえ大量生産されるものが多く、又それだけにヒット商品というものもあった。自分がたまにお話しさせてもらう、竹ビーズ製品などは竹ペンダントやネックレスと共に、ひとつの流行のようになったものの一つだ。


ところが現在では、竹細工を大量生産するような事はないし海外からの竹製品も多くなっている。そこで、少量多品種になってきたのだが、それでも店内には4000種の竹細工、竹工芸がある。しかし、そんな中でも今回の平口ざるは、かなり珍しく、恐らくYouTube特別販売させていただくのは最後だと思う。小さい頃には米上げザルなどとしても良く見かけていた馴染のざるだと思っていたら、いつの間にか世の中からは消えていた。口巻の仕上げに違いがあって籐巻、カズラ巻、銅線巻の3種類があるのでお求めいただく時にはご注意ください。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             



黒竹を使った国産竹箒

竹箒


竹箒も皆様に馴染のある竹製品のひとつだ。身近にあるので、普段はあまり考える事もない日用品でもあるが、海外からの輸入品ばかりで現在では国内で作る職人も本当に一握りしかいない。外国製に比べて国産箒は竹穂が強く耐久性もあって一部のお客様からは評価が高いものの、製造数は年々減っている。


孟宗竹


職人の高齢化はもちろんあるけれど、箒には今となっては貴重品である竹の穂が使われているから材料不足の側面も大きい。案外、考える事がないようなので説明すると、箒の先に使われている竹枝は箒用に伐採している訳ではない。孟宗竹を伐採して稈を山出しした後、枝打ちされて竹林に残った副産物の竹穂を有効活用して作られてきたのだ。


黒穂


この画像の竹枝は、黒穂と言って黒竹の枝なので高級品だ。黒竹を大量に伐採するからこそ多くの枝が集まっていた。当時は10トン車に山積みして運んでいたのだが、かさ張る竹枝を専用の型にはめて5貫(約18.75キロ)束にするのに職人4人がかりで何日もかかっていた事を思い出す。


孟宗竹枝


箒に使う竹穂は、このような孟宗竹の竹枝だ。何となく知っているようで、このような素材が箒になると言うのは実際にご覧いただくと良くご理解いただけると思う。先の黒竹のように孟宗竹の枝も同じ理屈で、竹を伐らないから材料は集められない。


箒の柄


竹穂が少なくなり、日本製箒に希少価値が付いてきたので柄も昔のようにB級品の虎竹を油抜きもせずに使うような事はしなくなった。しっかり持ちやすい頃合いの黒竹を使う、思えば少し前なら考える事もなかった変化ではある。





当り前ではない、菊底編みの竹ざる

青竹蕎麦ざる24cm


蕎麦ざるは、これからの季節は良く目にされる事の多い竹細工のひとつだと思う。日頃はあまり気にされる事もないのかも知れないので、この菊底編みの青竹ざるをご覧になられても特別に感じる事もないだろう。近年では、海外で製造された製品も品質が上がって日本製と遜色ない物があるから、販売する側でも間違えて国産記載しているザルを何度も見かけた事がある。


青竹蕎麦ざる24cm


この竹ざるも何気に見過ごしていたら当たり前の竹ざるでしかないのだが、実は全く当たり前でない匠の竹ざるだ。旬の良い時期に伐採した真竹を使い、竹編み数十年の職人が編み上げる。


青竹蕎麦ざる24cm


菊底編み青竹蕎麦ざる


軽く、しなりがあり、水切れがよく、水気に強いから扱いやすい。高知は昨日からやけに暖かい、竹林に入ると雨上がりの湿気で久ぶりにムシムシするような懐かしい感じを覚えた。今年の夏も暑くなりそうだ、そうなればまさに、ざる蕎麦の季節、竹ざるの季節だ。



古い籐編み椅子

籐編み椅子


その職人さんは、日当たりのいい納屋を仕事場にして竹の仕事をされている。すぐ横にある家庭菜園では季節の野菜が、庭には梅や桜、柿の木も植えられていて小鳥たちが遊ぶ桃源郷のような場所だ。世のお父さん方で、居場所がないと嘆いている人がいれば、きっと羨ましく思うのではないか?好きな時に、好きなだけ、好きな竹を編む。時折、古い籐編み椅子に腰をおろして、煙草をくゆらしながら遠くの山を眺めている。


草取り椅子


草取り椅子


竹の椅子というのは強度が必要なので案外難しいものだ。草取り椅子という真竹で編んだ椅子も厚い竹ヒゴでしっかりと編んでいないと使えない。


籐編み椅子


この籐編み椅子は、最初から足の孟宗竹に見惚れていた。こういうのが好きなのです。



WBCは世界竹会議か?ワールド・ベースボール・クラシックか?

World Bamboo Congress、世界竹会議メキシコ2018


いつもであれば「WBC」と言うとボクの場合は間違いなく、World Bamboo Congress(世界竹会議)だ。2018年にメキシコのハラパという街で開催された世界竹会議では基調講演をさせていただいた。英語やスペイン語、フランス語圏の方が多いので45分間の英語スピーチは若干苦労した覚えがある。しかし、日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」での市街地走行も実現する事ができたし、日本ではマイナーな竹に対して世界中でこれだけ多くの方が注目されていると言う事を肌で感じる貴重な体験だった。


World Bamboo Congress、世界竹会議メキシコ2018


いやいや自分だけではない、この真剣な眼差しをご覧いただきたい。国境を越え、言語を越えて集われていた500名の竹関係者の皆様にとってはWBCのBはBAMBOO以外の何物でもないのだ。


World Bamboo Congress、世界竹会議メキシコ2018


しかし、さすがに昨日のWBCはワールド・ベースボール・クラシックだ。自分でさえそうなのだから、BAMBOOのBだと言う人は世界中探してもいなかったかも知れない。本当に素晴らしい試合で感動した、誰かが考えた物語のようにドラマチックであり日本の野球を誇らしく思った。


WBC、世界竹会議


日本が世界一になった決勝戦があまりに凄かったからなのか、昨夜はWBC緊急放送!として決勝戦の様子が「日本×アメリカ~世界一の歓喜をもう一度!」として放映されていた。自分は、その番組で試合を見たのだが、地元テレビ高知さんの番組だったので今月29日に放送される「キテレツが咲く」の番組宣伝がCMの度に何度も流されていた。注目の高い試合だったたから、県下でも多くの方が観たに違いない。あれだけ流されるのは、かなり力を入れてるのだろうか?県外の方はTVerで観る事ができるそうなので是非ともご覧ください。




テレビ高知「キテレツが咲く」3月29日(水)夜7時放送!

テレビ高知「キテレツが咲く」3月29日(水)夜7時放送、竹虎四代目(山岸義浩)


今月のはじめ、テレビ高知「キテレツが咲く」と言う番組で豊ノ島さんに虎竹の里にお越し頂き、日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」に140キロの巨体で乗り込んでもらったり、虎竹の空気清浄機やソーシャルディスタンス虎竹帽子などを紹介いただいた。


テレビ高知「キテレツが咲く」3月29日(水)夜7時放送、竹虎四代目(山岸義浩)


番組収録はその日だけだと思っていた数日後、テレビ高知さんの担当者の方から急に連絡が入った。当日撮ったビデオをお笑い芸人のFUJIWARAのお二人、豊ノ島さん、安藤桃子さん、デハラユキノリさん、柴田恵介さんら出演者がご覧になるそうなのだが、そこに登場して欲しいとの事だった。


豊ノ島、竹虎四代目(山岸義浩)


撮影場所はテレビ局ではなく、高知市で絶品ハンバーガー屋として人気の「Cab's」店内。番組用に高知独特の色鮮やかなフラフを貼ってに賑やかな雰囲気の中、先日お越しいただいた豊ノ島さんに再会、すると何と!虎竹名刺入れを土俵の上で数々の名勝負をされてきた、その手にお持ち頂いているではないか!?本当に感動した。


デハラユキノリ、柴田恵介、竹虎四代目(山岸義浩)


デハラユキノリさんはアーティストとして海外でも活躍されている方だか、昔から作品は色々な所で目でしている。特にソフトビニール(通称ソフビ)で創作するフィギュアのセンスは独特で秀逸だ。柴田恵介さんは「土佐おもてなし勤王党」「土佐おもてなし海援隊」として長く活躍されていてファンも多い。


田野屋銀象、竹虎四代目(山岸義浩)


今回、一緒に番組に取り上げて頂いたのは初めてお会いする田野屋銀象さんだ。聞くと天日塩づくりの職人田野屋塩二郎さんの一番弟子との事で、高校生の時から塩づくりに魅入られたと言うから凄い。


田野屋銀象の天日塩


実は先日、高知空港の売店で見かけたので銀象さんの塩を買ってみた。肉用、魚用、野菜用とあったがパッケージも格好良く、自宅でも使ってみたいが、ちょっとしたお土産にもいい。


平賀史桜、竹虎四代目(山岸義浩)


放送には竹虎創業明治125周年を記念して製作したREIWA-125号も登場する。これでスペイン、ビトリアの坂道レースに参戦した時には、車輪だけの車体を後ろから手押ししてもらってスタートするのだが、今回も入場には後ろから押していただく。正直、レースの時よりも何倍も緊張した。


安藤桃子、竹虎四代目(山岸義浩)


映画監督の安藤桃子さんは高知に移住されて随分になると思う。一度はプライベートで虎竹の里にも遊びにお越しいただいた事もある。本能的に「ここだ!」と移住を決められたそうで、やはり土佐の魅力は分かる方には分かっていただけるようだ。高知市内に「キネマミュージアム」を作られていて、又面白そうな事をされるとイキイキしてお話しされていた。


虎竹アーマー鎧、竹虎四代目(山岸義浩)


テレビ高知「キテレツが咲く」は3月29日(水)夜7時放送です、是非ご覧ください!県外の方も当日少しタイムラグはあるもののTVerで観る事ができるそうなので是非よろしくお願いいたします!




孟宗竹のシミ、竹林の荒廃、竹の開花、そしてテング巣病

建仁寺垣


模様が入っているように見えるこの竹は虎竹ではない。孟宗竹を湯抜きして天日干した建仁寺垣と言う伝統的な竹垣の材料となる竹材だ。本来なら真っ白い竹肌なはずなのに、ご覧のようなシミができてしまっている。以前の竹ならほとんど見られなかった、このような症状には理由がある。


竹林の荒廃


多くの方が誤解している事をまずお話ししたいが、日本の森林に占める竹林割合は皆様が思われているよりもずっと少ない。約16万haと言うから日本の森林面積の0.6%程度なのだ。それなのに竹林の荒廃がこれだけ言われるのは、里山をはじめ人の暮らしの近くに竹林が作られてきたからに他ならない、つまり目立っているのだ。


竹の開花


古くからは軽く、丈夫で加工性も高い事から身近に植えられて人の生活に欠かせないものだった。ところが、竹が使われなくなった事で手入れされない竹林は竹藪へと変わった。


竹の花


これは、虎竹の里からも近い土佐市の孟宗竹の花である、イネ科らしく竹の花はまるで稲穂のようだ。しかし、現在120年に一度の竹の開花の時期を迎えているのは淡竹(ハチク)だ。数年前から日本各地で見られるようになっている、皆さんの近くの竹林でもそのような場所があるのではないかと思う。竹林全体、あるいは一部が白く立ち枯れしているように見えたら竹が開花した後の可能性が高い。


テングス病


淡竹の開花に合わせるかのように真竹にはテングス病という病気が広がっている。竹の花と似ているので間違える方もおられるように竹の覇気がなくなり異様な光景でもある。


テング巣病


古老に聞くとテング巣病になった竹はすぐに伐採して焼き捨てていたと言うが、この病は日本中の真竹に広がっていて、テングス病でない竹林を見るのが珍しいくらいとなってしまい手が付けられない状態だ。


巨大な孟宗竹


気候変動が竹に与える影響も15年くらい前から感じてきた。30年来、孟宗竹を多く扱う職人さんに会うと、何と孟宗竹は温暖化によって段々と大きくなっているとも言う。大きい事は良いことにも思えるけれど、竹質が変わってきているのではないだろうか?近年の害虫による被害の多さを考えて妙に納得する。


虎竹の竹林


このように竹は大きな節目を迎えている。それなのに、竹林の異変はあまり認知されてはいない。日本全国で各地の竹林に足を運び、山の職人から、竹材を扱う職人、竹籠を編む職人と会ってきた、竹を毎日触っているのに竹林の変化にあまりに無関心なのに驚く事もある。これから良質の竹材が少なくなれば、価値が見直され、竹林にも光が当たってくるのではないかと期待している。


竹の様々な呼び名について



本日はまず、こちらのYouTube動画をご覧いただきと笹の違いについて大まかに知ってもらえたらと思っている。違いと言っても日本に600種類もあると言われる竹と笹、実は明確に区別をつけるのが難しい。


メゴ笹


区別を複雑にさせている理由のひとつに呼び名の多さがある。例えばこの高知ではメゴ笹と言う洗濯籠などに多用してきた竹はオカメ笹や神楽笹など良く聞く別名ではあるが、他にもイッサイザサ、イナリザサ、イヨザサ、オサンダケ、カンノンザサ、チクサクザサ、ソロバンザサ等多数の名前があるようだ。


篠竹


篠竹とスズ竹も混同されている職人さんがいる、しかしこれには理由がある。分業制で仕事を進めてきた竹細工の場合、竹材を割って持ち運びしやすい竹ヒゴの状態で編み子さんに届ける事も多かった。篠竹とスズ竹は、性質の似た竹なので細く割ってしまうと、どちらか区別はつかなくなるのだ。


マダケ(矢竹)


ただ、似かよった竹だけでなく全く異なっているはずの竹の名前で呼んでいる事もあるから竹の世界は深い。対馬のタカゲを編む素材は矢竹なのだが、職人さんたちは、この竹をマダケだと言う。


真竹


真竹と淡竹(ハチク)も一般の方には区別はつかないかも知れないが、これらの竹を使って籠にするとなると竹質や見た目はかなり違う。だから、さすがに真竹と淡竹は無いだろうと考えていたが、まだまだ甘かった。真竹をハチクと呼び伝統の青物籠を編む職人さんに出会った。だから竹は面白くてやめられない。


漆で仕上げた虎竹茶杓

虎竹茶杓


この30年で茶華道をされる方はかなり減ったのではないかと思う。何を隠そうお茶は続けられなかったが、華道は好きだったので数年間知り合いの先生の所に通っていた。その当時は、どちらも生徒さんも多く、結構厳しかったし熱心に取り組まれている方ばかりだったと記憶している。


虎竹茶杓(漆)


そもそも茶華道と竹とは深い関係があって、竹は多用される。竹虎の本店でも茶道、華道で使用する道具は手頃な物から作家の創作した高価な物まで沢山取り扱わせてもらっていた。


虎竹茶杓(漆)


茶杓は虎竹はもちろん、今くらいの時期に湯抜きして天日に晒した白竹でも作っていた。虎竹をガスバーナーで油抜きする事を乾式と呼んでいる、この仕事の時の香りも素晴らしいけれど、湿式と言う白竹の湯抜きで竹が放つ香りも好きだった。


虎竹茶杓


虎竹茶杓は全て漆で仕上げる事にした。自然の虎模様に深みが増すのが気に入っている。



竹虎YouTube特別販売の白竹角手提げ籠バック

白竹角手提げ籠バック


お求めやすい価格と、通常商品とは少し違った規格が人気なのだろうか?竹虎YouTube特別販売が思いがけず人気になっている。昔の竹製品と言えば大量生産されるものもあり、ヒット商品と呼べる竹編みもあったけれど、近年では多品種少量生産が主となった。そして、そんな中でも手作りの宿命とでも言うべきか正規品とは若干異なる物が出来る事も多い。竹材の都合や職人の手によるサイズ違いをはじめ試作品等、あるいは今回の白竹角手提げ籠バックのように通常の金具がたまたま無くなり、手持ちの少し大きめのリベットを使ったものなどもある。


このような竹製品は、竹虎本社工場に隣接している本店に陳列しているが、結構な在庫数になるので全国の皆様に是非ご覧いただきたいと考えて「YouTube動画特別販売」として配信をさせて頂くことにしたのだ。この白竹角手提げ籠バッグは、お買い物にも、山や海への行楽にも連れて行きたい白竹で編まれた「角もの」、四角い形なのにシャープな感じになりすぎず、温もりを感じるのは竹ならではだ。通常商品より大きめの別注リベットで仕上げた限定品なのでお求めやすいお値段にしている。




どこにでもあるようで無い、熟練職人の米研ぎざる

竹ざる


竹ざると言えば皆様が思い浮かべるのが、このように少し深さがある丸いお椀型のモノではないだろうか。普通に生活しているだけでは、なかなか竹細工など見かけるシーンは少ないかも知れないが、気を付けていると案外近くにあったりする。


横編み竹ざる


秀逸な竹編みに出会う事は少ないけれど、この竹ざるは米研ぎざるとしても使える最高の品質だ。


米研ぎざる


細い竹ヒゴでしっかり編まれたざるからは、割れてしまった小さな米粒が落ちたり挟まったりする事もない。今回わすが2個しかご用意がなく、YouTube特別販売でご紹介する前に売り切れてしまった。動画をご覧いただいた皆様には申し訳ないので、しばらくお時間いただきますが改めて少しでも追加販売できるように準備しています。



今夏の籐手提げ籠バッグ

籐手提げ籠


昨日は籐細工の枕のお話しをさせて頂いた。籐工芸にも戦後のGHQが関係していて、家具の需要から盛んになったという歴史は本当に興味深い。ソファや椅子も竹で編まれる事もあるけれど、やはり耐久性では籐(ラタン)には敵わない。当時、竹職人から籐職人へと転向された方々も籐素材の魅力を感じた方も多いはずだ。


籐手提げ籠


もちろん、元々日本にあった竹というのは素晴らしいし身近であったから多用されてきた。しかし、輸入材としてしか手に入らなかった籐も、実は少量ながら江戸時代からあって緻密な編み込みの品が作られていた。そんな伝統が、家具から手提げ籠バッグのような小物に受け継がれているように思う。


染め籐手提げ籠


ところが昨今、そんな籐材も良質なものが少なくなって困っている。竹とも相性が良いので籠の口巻や持ち手など色々と使われているのだが、サイズによっては全く調達できずに仕方なく出来なくなった籠や、仕様を変更せざるを得ない事もある。


籐手提げ籠バッグ


竹虎では今夏から染め籐の籠を中止して、素材感そのままにお楽しみいただく白籐手提げ籠バッグを中心に考えている。




GHQと籐まくら

籐鼓椅子


こちらの籐で作られたスツールを、もしかしたら一度や二度はどこかでご覧になられた事があるのではないだろうか?確か随分と昔の事ではあるが、とある女優さんか誰かが鼓の形をした椅子を所望されてから作り出した製品であると聞いている。その後、似たような輸入品が広く出回るようになり、多くの方の目に触れる機会も多くなったけれど、この椅子は古い国産のもの。良く見れば籐の骨組みや風格が違う。


籐編み工場


籐細工の歴史を紐解いていくと、戦後のGHQなどまで関わっていて面白い。


籐籠の型


日本に滞在する米軍が多かったが、当時の日本には手頃な家具がなかったそうだ。そこで、目をつけたのが東南アジアから沢山調達できるようになった籐だった。


籐スツール


竹に比べて加工しやすく耐久性もあることから、椅子などの製作を依頼された竹職人が次々に籐編みをするようになり、籐細工が盛んになるうちに家具から小物などの製作もされるようになる。


籐まくら


暑い季節には重宝される籐まくらもそんな中のひとつ。案外、海辺の町で竹細工をされている方がいるのは大波で漁ができない場合などの内職から始まっているらしい。昔から網を作ってきた漁師さんたちの手先の器用さが職人仕事にマッチしていたようだ。そう言えば、鰹の一本釣りで有名な地元久礼の港町にも、かってはシダ屋が2軒もあったと言うので内職で籠編みをしていた時代があったのかも知れない。




黒竹箸箱と竹箸セットを3名様にプレゼント

マイ箸、携帯箸に黒竹箸箱と竹箸セットを3名様にプレゼント


竹虎では、少しでも皆様の竹への関心が高まればと思って不定期にプレゼント企画を行っている。今回は高知県特産の黒竹も知っていただく機会になればと考えて限定品の黒竹箸箱と、19.5センチで少し短めにして持ち運びしやすい携帯竹箸のセットが3名様に当たる。いよいよ明日15日までの開催なので、運試しと思って是非ご応募ください。お名前とメールアドレスだけで簡単応募できるので、時間も全くかからない。




現品限りの黒竹箸箱と携帯竹箸セットについては、こちらの動画で詳しく説明している。竹集成材の箸箱の事や、黒竹の蓋のスライドする感じ、中に入った竹箸など良くお分かりいただけると思う。




そして、この黒竹を真っ直ぐに矯め直す熟練職人の技もご覧いただけると嬉しいです。



竹林の異変

竹林


あまり誰も話題にしていないけれど、近年全国各地の竹林は元気がない。先日も、飛行機が着陸態勢になり高度を落とすと山々に点在するの様子が気になってくるが、どうも覇気を感じない。竹の秋でもないのに葉が黄色くなっていたり、立ち枯れした竹もある。




高知でも土佐市という所で全国最大級という孟宗竹の部分開花を見つけた事がある。あまりに広範囲だったので竹林の持ち主の方も一体何が起こったのか?と驚かれていた。


孟宗竹


竹は孟宗竹で60年に一度、真竹や淡竹では120年に一度花が咲くと言われている。開花すると竹は全て枯れてしまう、今ちょうど全国的に淡竹の開花時期となっているけれど、それとは少し違う。


真竹竹林


気になる竹林の多くは孟宗竹だったり、真竹だったりする。真竹は前から何度も言っているようにテング巣病だ。


テング巣病の竹林


これだけ蔓延しているのに、どうして竹を扱う職人や業者さんからも何も話しを聞かないのだろう?と思っていたら、ひとつは竹林に入らないので知らないのだ。竹材を使うと言っても、枝打ちされて一本の竹になったものしか見る機会がないので仕方ない。良質の竹を求めて竹林に入る若い職人も、既に最初からテング巣病ばかりだったので実はあまり違和感をもっていなかったりする。


竹林


「竹の秋」と言って竹も紅葉するのだけれど、一年中このような竹林の姿は異様だ。


竹林


孟宗竹の場合、大型化した台風の強風と潮のせいだとも、地震があった地域では根が揺れて傷みがきているのではないかという職人もいる。理由は分からないけれど、竹の異変には注視していきたい。




背負い籠いろいろ

背負い籠


背負い籠も昔から生活の中で、仕事で多用されてきた道具のひとつであり、軽さと強さを兼ね備えたばかりでなく、しなやかさがあって扱いやすい竹は持って来いの素材だった。そこで、全国各地で身近にある竹材が使われ編まれてきたのである。最近のお気に入りは、マダケ(矢竹)と淡竹を使って対馬で編まれた背負い籠、矢竹など笹の仲間は本当に粘りがあり重たい荷物を運ぶ時など頼りになったろうと思う。




タンガラと呼ばれて、当時は炭鉱で石炭を運ぶために編まれていた背負い籠は圧巻だ。熟練職人が一心不乱に編み上げる迫力の仕事を是非ご覧いただきたい。孟宗竹で編まれる一本子、真竹で編む二本子があり、籠一杯に入れた石炭を逆さにして下す時に役立つ縁部分に飛び出たアタマが特徴的だ。


根曲竹背負い籠


根曲竹の背負い籠も昔なら沢山編まれて流通していたけれど、今では少なくなり本当にレアな籠となった。根曲竹の六ツ目編みした玉入れ籠を、逆さにしてサイドテーブルのようにして何年も愛用しているが、少しくらいの重さの荷物にはビクともしない。


背負い籠


背負い籠


行商のおばちゃんを思い出す角型の背負い籠や、細くて長い山芋籠など少しご覧いただくだけでもバラエティ豊か、日本の竹文化が豊かだった証だろう。



新聞掲載のソフト竹炭枕

ソフト竹炭枕


竹炭枕と言えば、竹炭粒の硬さと頭をのせた時の「ジャリ」という音が特徴で、それぞれマイナス要因のように思えて実は、どちらも結構悪くない。元々日本では硬い枕が使われてきただけあって硬さについてはクセになってしまいそうだし、音も睡眠のスイッチが入るのだろうか?「ジャリ」音を聞いた直後からの記憶がなく気づけば朝なのだ。


ソフト竹炭枕


しかし、それでもやはりソフトな枕を望まれる方はおられる。竹炭の効果+ソフト感という事で、実現する方法は何種類かあったが、竹虎が形にしたのは消臭効果の高い竹炭樹脂を使ったものだ。布団の上に敷くタイプの竹炭ベットパッドを前々から作っていて好評なので、同じキルティング生地を採用している。


ソフト竹炭枕


睡眠は健康の基本でもある、皆様の健やかな暮らしに少しでもお役にたてれば嬉しい。


ソフト竹炭枕新聞掲載





続・サステナブル竹細工

修理された鰻魚籠


着物屋のご主人さんとお話しする機会があった。着物は仕立て直しを簡単にすることが出来て、体型の違う人にでも着まわす事ができる。着古しても捨てる事はせず、使えるところは子供の着物に仕立てて有効利用してきたそうだ。それでも更に古くなると、今度は雑巾やハギレ、最後には赤ちゃんのオシメにまで使われていたと言うから徹底している。そう言えば竹虎の竹皮草履の鼻緒に着物のハギレを使う場合がある、このように元々日本の暮らしというのは物を大切にした循環型の社会だった。


サステナブル鰻魚籠


竹細工も同じだ、使い込んで傷んだ竹籠は修理しながら使ってきた。身近にあって、加工性の高い竹ならではの大きな特徴の一つだ、こうして長く長く愛用できるのが竹なのだ。そして、どうしても修理できない籠の場合には和紙を貼って、漆や柿渋で耐久性を高めて又使ってきたから凄い。この技は一閑張りとして現代にも残っている。


SDGs竹籠


さて、今回長年にわたって鰻魚籠として活躍してきて籐の口巻部分が完全に壊れてしまった籠だ。プラスチック製品なら廃棄してしまう所だけど、竹はどうだ。この通り、熟練の職人技によって新しい生命を吹き込まれたかのように蘇った。SDGs(エス・ディー・ジーズ)という言葉を最近よく耳にするけれど、日本の暮らしは元々自然に優しいサステナブルなものだったのだ。




YouTube特別価格!手頃なサイズ、美しい編み上がり2個限定の白竹手提げ籠バッグ

2個限定の白竹手提げ籠バッグ


今回限りの白竹手提げ籠バッグは、手軽に持てるサイズ感がいい。優しいフォルムで使いやすく、ちょっとしたお出かけやお買い物には一番重宝する手提げ籠になるのではないかと思う。白竹を使って、しっかり編まれているものの残念ながら今後同じ籠を製作予定はないのでYouTube特別販売でご紹介することにしました。


2個限定の白竹手提げ籠バッグ


素材、サイズ、形など全く同じ手提げだけれど、一点だけ大きく異なる所がある。それが底編みで片方は四ツ目編み、もう一方は筏編みにされている。それぞれ限定一個だけのお求めやすい特別価格なので、これから春に向けて手頃な竹買い物籠を探されている方がおられたら是非お早めに!




テレビ高知「キテレツが咲く」豊ノ島さんとカラオケ対決!?

豊ノ島、竹虎四代目(山岸義浩)


「キテレツ」とは非常に風変わりな事らしい、当て字では「奇天烈」と書くので奇抜さが激しい印象だ。そんなテレビ高知さんの「キテレツが咲く」と言う番組に取り上げて頂く事になった。自分では、普通の竹屋で別に変った所もしていないし、創業129年にわたってコツコツと竹の仕事をしているだけだと思っているのだが、それでいいのならとお引き受けした。


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ところが、こちらの番組の内容を聞いて腰を抜かした!何と高知県出身でもあり、角界一の美声と呼び名の高い豊ノ島さんカラオケ対決!?なのだそうだ。これはイカン、カラオケなど歌ったのは10年前か?いや、もっと前だろうか。


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唄はサブちゃんと決まっている。しかし、歌手のような豊ノ島さんとテレビカメラの前でぶっつけ本番とはキツイ。そこで、生まれてはじめて一人カラオケに行って、機械操作も分からないので店員さんに曲をセットしてもらって練習した。


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日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」に140キロの豊ノ島さんが乗ったり(竹トラッカーが底を擦りながらヒーヒー言ってました)、虎竹空気清浄機あり、ソーシャルディスタンス虎竹帽子が出たり、須崎B級グルメ鍋焼ラーメンも食べます。盛りだくさんなので、どんな内容になっているのか分かりません(笑)。


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出演は、吉本お笑い芸人のFUJIWARAのお二人に加え、豊ノ島さん、安藤桃子さん、デハラユキノリさんの予定で、今月29日(水)午後7時からテレビ高知さんで放映だそう、まだまだ先ですが是非ご覧ください!


サステナブル竹細工

傷んだ鰻魚籠


赤茶色になるまで使い込んだ鰻魚籠は風格さえ感じさせる堂々とした美しい編み込み。だけれど、籐でしつられえた口巻部分が外れてしまっている。四ツ目底から立ち上がってきた幅広の竹ヒゴに、細い繊細な竹ヒゴをゴザ目編みして作られた籠だが細い竹ヒゴ自体も弱くなっていた。


古い魚籠、竹虎四代目(山岸義浩)


実は同じ魚籠を持っている。近くのお年寄りから頂いたものだが、昔から高知県では海で、川で愛用されてきた馴染の籠のひとつなのだ。自分の持つ籠の力竹の底部分、傷みやすい四隅には錆に強い銅線を巻き付けて補強されている、これも高知では良く見られる技法だが、今回の魚籠は力竹が銅板でおおわれていて面白い。


壊れた鰻魚籠


本来なら使われなくなってしまう竹籠だけれど、こんなに手間のかかった魚籠をそう簡単に失くしてしまうのは残念すぎる。「もったいない」精神で当たり前のように竹細工は手直しを続けて長く使われてきた。結果的にサステナブルな代表的な製品の一つとも言えるのではないかと思う、この籠もどんな風に蘇るのか是非ご期待いただきたい。



虎竹スクエア茶碗籠、強さの秘密

スクエア茶碗籠


虎竹スクエア茶碗籠について少しお話しさせていただきたい。四ツ目編した通気性に優れて、角型の使いやすい籠だ、キッチンにも置きやすいとご好評いただいている。


虎竹スクエア四ツ目編籠


スクエアバスケットについては、台所だけでなく生活の色々なシーンでお使いいただけたら嬉しいとの思いで何種類かのサイズがある。


虎竹スクエア茶碗籠


茶碗籠については「竹茶碗籠のある暮らし」自分個人の強い思い出があってずっと力を入れてきた。


茶碗籠


茶碗籠足


他のスクエアバスケットとの違いは足がある事、足を付ける事によって籠の底に空間が出来て水切れが良くなるのだ。


虎竹スクエア茶碗籠


虎竹スクエア茶碗籠


籠全体に食器類の重みがかかるので縦ヒゴを口部分の横ヒゴにかけて折り曲げている。実はこうした一手間で竹籠の強度は全く違ってくる。




竹についての関心

竹虎四代目(山岸義浩)、竹講演


もう20数年前の事になる。新宿にある東京ガスさんが運営されているリビングデザインセンターOZONEという所があって、虎竹の展示をした際にお客様にお越しいただいての話をした事があった。久しぶりに出てきた画像を見て懐かしく思い出したのだが、あの時の皆さんの竹への強い関心、熱気が蘇ってきた。


竹虎四代目(山岸義浩)、竹講演


竹細工や竹工芸を並べただけではなく、会場には虎竹はもちろん真竹や黒竹、図面竹、亀甲竹など竹材が飾られていた。竹は衣食住にわたり様々なシーンで日本人の暮らしに深く関わってきたので、竹と一言でいっても沢山の側面があって、お集りいただいた方の年齢や性別も幅広かったように思う。


竹虎四代目(山岸義浩)、竹講演


そして、司会の方が途中で切り上げねばならないくらい質問が多く、とにかく竹への関心が高かった。あれから随分と時は流れたけれど、やはり日本人は竹を少しだけ忘れているだけではないかとの思いは変わらない。竹に心を向けてもらえないのではなくて、自分が皆様に心を向けていなかったのではないだろうか。


昨年の12月8日に、日本の竹を世界の皆さんに知って頂きたいと思ってJAPAN HOUSE Los Angelesと言う所で竹についてのウェブセミナーをさせて頂いた。講演テーマは「日本文化と暮らしに息づく竹~竹の無限の可能性(Bamboo in Japanese Culture & Lifestyle | Limitless Potential of Bamboo)」。聴講されるのは、アメリカをはじめ海外の方が多いので竹の魅力や面白さを出来るだけ分かりやすくお伝えしているつもりだ。もし、外国の方同様に竹に馴染のなくて、それでも竹を知りたい日本の若い世代の方がおられたら、英語通訳を交えてのセミナーだが是非お聴き下さい。


JAPAN HOUSE Los Angelesウェブセミナー
日本文化と暮らしに息づく竹~竹の無限の可能性




国産竹串は「志」

日本製竹串


国産竹串は難しい。輸入串の品質が落ちたり、値段が上がったり、あるいは海外では製造されていない独自の竹串が必要となったりして日本製竹串を探される方がたまにおられるようだけれど「時すでに遅し」の感がある。手頃な輸入品が沢山ある中で国内での製造が少なくなり、多くの職人がいなくなった今になって国産と言われても、困る場合が多い。


国産竹串先端、鉛筆削り


大きな木材を、キャタピラーや太いタイヤで自走する大型機械で伐採して、枝打ちまでするYouTube動画を観た事がある。これは凄いなあと思っていたら、なんと同じような機械が竹材でもあるようだ。山の職人が少なくなっている昨今、機械化で竹伐採の問題が解決できればどれほど助かるか。けれど実際には全く簡単ではなく、野菜や果物でも畑の端から全て収穫できるものもあれば、出荷時を見極めながらひとつひとつ収穫するものもあって、竹は後者だ。そもそも狭い急斜面に機械を持ち込む事からできない。


日本製竹串先端、刀


同じように見える竹串だけれど、竹表皮が先端まで残っている、形もが違う。昔なら農閑期に人海戦術で手削りしていた竹串も、現代では加工機械でもないと、とても作れない。鉛筆削りのようにする機械、刃物のような形にする機械、それぞれ違う。


国産竹串断面


竹串と聞けば丸い竹串を想像される方が一般的かも知れないけれど、四角い串、カマボコ状の串、それぞれである。


国産竹串


前に国産竹串にこだわる飲食店に伺った事がある。店内は満席のお客様で人気店との事だった。しかし、そんな店舗でも竹串となると消耗品でもあるし、価格については意外にシビアに考えられている。


竹串


商売なので当然なのだが、それでも僅かな金額を言うのであれば国産にこだわる必要はないのではないか?できあがった竹串から竹林に思いを馳せるのは容易ではないだろう。ただし大袈裟に言うならば日本製竹串は「志」ある方とでないとダメな時代になっている。作る人も、使う人も心の指す方向が同じかどうかだ。