この網代編みの籠は、これで完成でない。これから巾着袋を取り付けて巾着籠として出来あがる。巾着籠と言っても、近年ではあまり見かける事がないが、一般の方なら着物や浴衣に合わせて持たれたり、舞妓籠とかお座敷籠とか呼ばれるように舞妓さんが使われる事が多い。
竹細工にはありがちな事ではあるけれど、現在ではすっかり少なくなったこの網代編みの袋底も、以前は大量に編まれていた。
ご覧いただいているような虎竹や白竹の表皮を活かした籠ばかりではなく、表皮を取った後の内側の竹ヒゴで編んでから染められた籠が倉庫に山積みされていたのだ。この細かい編み込みの籠が、こんなに沢山あるとは凄いなあと当時は思ったものだけれど、竹ヒゴは機械で作るし職人は手慣れているので意外なほどの早さで作られていた。
一つの竹籠を数多く作るという事になれば、工夫もするし分業もしながらそれぞれのパートで熟練度が高まり、早く綺麗な製品が作られるようになる。
需要が減り流れ作業のように出来あがっていく竹の仕事はとうに無くなった。時代に合わせて、ひとつひとつ編んでいく。
コメントする