ここ数年、竹編みコーヒードリッパーを見かける事が多くなっている。竹虎なら虎斑竹のゴザ目編みや六ツ目編みのタイプがあるし、白竹、青竹、根曲竹、スズ竹などで作られたものがある。ご家庭や職場では一杯づつ入れられるドリップバッグが便利だけれど、こうしてハンドドリップで数人分を淹れていると少し豊かな気持ちになる。
色々と種類があるので、好みでお選びいただくと良いと思うけれど、ドリッパーの元々のヒントとなったのは今では見られなくなった塩取り籠だ。
ご存じない若い方も増えているようなので、一応お話させていただくと、実は現在のように塩がどこでも安価に手に入れられるようになる前は、塩は海水から取っていた。自分などは小さい頃の友達との遊びの中で、海水を沸騰させて塩を取るというような機会があったので違和感はない。
しかし、竹籠で塩を作るって本当?江戸時代の事ですか?そんな声も聞こえてきそうだ。いやいや自分が最後くらいの世代だと思うものの、竹職人さんの自宅で実際に吊り提げられているのを見た事があるから、それ程遠い昔の話ではない。虎竹の里でも、祖母の時代までは前の海水で塩を作っていたと聞いた事がある。
塩取り籠は、しっかりした網代編みだった。今はペーパーフィルターで使うからこのような六ツ目編みも作っている。
当時は、塩取り籠を使うと塩が籠に残って、水分の多い苦汁が下に落ちる。ポタポタと苦汁が落としていた竹籠が、時を経て今は美味しいコーヒーをサーバーに落としていると言う訳だ。
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