竹炭盛皿への挑戦

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現在では品切れとなってしまっている竹炭盛皿という商品がある。長さが約30センチ、幅が約8.5センチあるビックサイズの竹炭をお皿として料理などに使えれば面白いと思い、炭職人と相談しながら作っていたものだ。ところが、これが本当に難しい。まず素材の孟宗竹から徹底的に吟味せねばならない、竹を炭に焼くと20%程度は縮んでしまうので出来るたけ大きく厚みのある竹材を用いる。大きく焼くというのは割れや捻じれなどのリスクも高まるから、3~4年竹を他の竹材以上にしっかりと乾燥させていた。


ところが特別に手間暇かけて窯入れしていても、実は焼き上げてみないとその時々の天候や環境により土窯は微妙に異なり思うように良品ばかりは出来上がらない。自分のこだわりだけで採算の合わない竹皿作りを続けていられないのと、孟宗竹調達の事もあって今では幻のような竹炭になっている。


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そんな難しい竹炭盛皿に、新たに挑戦される竹炭職人さんが素晴らしく綺麗な竹炭を試作として焼き上げてきた。長さは30センチを超えているし幅はなんと14センチ以上もある。特殊な技法で焼き上げられているので、前の竹炭皿と比べると捻じれがほとんど無いと言っても良いくらいの出来栄えだ。同じ土窯作りだけれど、これだとコンスタントに製作できそうだと思っていた。


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しかし、やはりこれだけのサイズの竹炭になると弱点がある。今の作り方では低温の竹炭にしかならず、導電率の低い竹炭にしか焼けない。一定の品質を保ちつつ焼き上げられるけれど、その反面高温の最高級竹炭に比べて硬度がなく水に弱いのだ。試しに何度か水に浸けてみたが乾燥の過程でまるで消臭・調湿用の竹炭(バラ)を水洗いした時のように小さな音を立てて割れてしまう。


食器として使える竹炭にしたいので水洗いは絶対に必要だ。1000度の高温で焼き上げられる最高級竹炭と、低温窯で焼かれる竹炭では、機能性も性質も随分と異なる。高温で硬く焼き上げながら、大きく安定させた形という難しい課題を乗り越えないと竹炭盛皿は完成できないのです。


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