かけテボと呼ばれる背負い籠

背負い籠


背負い籠も昔から多用されて来た道具のひとつなので、全国各地で様々な形の籠が作られきた。地域によって編まれる素材が違うけれど、多くの場合は加工性が高く、軽く丈夫な竹材が使われている。この籠は対馬で編まれたもので、「マダケ」と淡竹(ハチク)を使っていると職人さんは言うけれど自分たちの言うマダケとは少し違っている。


そもそも対馬には大きな孟宗竹はごく一部でしか見かけられない、淡竹の竹林も山間部に点在していて広い竹林を見ることはできなかった。代わりに川岸に矢竹やメダケが生えているのだが、この矢竹をマダケと呼んで使っているのだ。


背負い籠


これだけのサイズの背負い籠なので、網代編みの底部分から縦ヒゴには太めの矢竹を使っている。底から立ち上がり部分は同じく矢竹で、胴体部の回しヒゴには淡竹を用いる。口部分は太さが均一で、丸く綺麗に曲げられるシモゾウという木で作られ、背負い紐をかける部分はツヅラである。使い込んだ風合いがたまらないと思っていたけれど、背負い紐を通して肩にしてみると尚更に良さを感じている。


かけテボを背負ってみて、かって石炭を運んだと聞く幻の背負い籠「タンガラ(炭殻)」を編む迫力の職人さんを思い出した。今では見られないスゴ技です。




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