ほんの数十年の事で人の暮らしは大きく変わるものだと思う。虎竹の里は竹の産地であると共に良質のシダの成育する地域としても知られていて、シダ編み籠を作るための材料を集めるシダ屋さんが車で10分足らずの町に2軒もあったと言うから今では信じられない話だ。
ところが、自分の小さい頃にはメジロやウグイスは何処の友達の家に遊びにいっても普通に飼われていたし、ツグミやヒヨドリなど野鳥を買い取ってくれるお店さえあった。今では飼育や捕獲が禁じられているので、こんな話を知らない人に話すと、今度は自分の方が「信じられない」とビックリされてしまう。
思えば自分の子供時代までは山や川、海といった自然が人の生活にもう少し深く関わっていた。近くの川で捕ってきた鰻が食卓に並ぶ、ツグミの毛を隣のおじさんが毛をむしって焼いてくれる、もしかしたら最後の世代だったろうか?そう言う意味では、今は田舎に暮らしていても都会に暮らしていても、自然との関わりはそう大きく変わる事がないかも知れない。
さて、そんな現代に当時を思い出す名残のようなヒヨドリ籠なるもの発見した(笑)。渡り鳥として知られるヒヨドリは日本各地に普通に見かける鳥で、自分たちの場合は「コブテ」と言う罠を作って捕っていたけれど、このヒヨドリ籠は生け捕りにする竹籠だ。鳥籠は二段式になっている、下にオトリの鳥を入れておいて誘われてやってきた鳥が上段に入ると蓋が閉まる仕組みである。
先日、地元のテレビニュースで取り上げられていたサンジャクという鳥がいる。カラス科の外来種で観光施設から逃げ出して野生化しているそうだ。繁殖力が強く、高知県では絶滅危惧種のヤイロチョウの生態に影響があったり、黒潮町では里山でお馴染みのメジロがいなくなった島もあると聞く。前にお話しした事があるけれど、虎竹の里の竹林で一度見かけた事があって熱帯雨林のジャングルにでもいるかのような違和感だった。こんな小さなヒヨドリ籠では追い付かないと思うが、ふと思い出した。
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