この正月に実家で水炊きを作ってもらっていた、特別な材料など使っている訳でもないけれどメチャクチャ旨い。何がこんに違うのだろう?不思議に思っていたけれど答えは野菜だ、自宅や隣の畑でとって来たばかりのものは格別、特に引っこ抜いたばかりの大根おろしが大きな丼に入れてタップリ出してくれたのが堪らない。
豪華なお節も良いけれど実は新鮮野菜が贅沢だったりする、そんな事を思いながら日頃見ない棚のガラス戸の奥に目をやると、良い色合いになった虎竹の二段弁当箱を見つけた。「なんだコレは...?」このような角物細工では虎竹を使ったものは殆どない。価格だったり、製作に手間がかかるのが理由だけれど、白竹ばかりでは面白くないと数年前から虎竹を使った三段ピクニックバスケットなども企画してきた。
虎竹の角物など手掛けるのは自分だけだろうと思って仕事していたが大間違いだった。少なくとも50年前には虎竹を使った角物弁当箱が祖父の手によって作られていたのだ。手にしてしみじみ見て改めて感服する。
竹は大切にしていれば置いておくだけで、こんな艶やかな色合いに変化して人を魅了する。この上段の底編みも今とは全く違う手の込みようである。それだけではない、持ち手の竹が両サイド2本に別れて下に伸びている、少し長めに残しているのは籠の底面が床に直接触れないように足にしているのだ。日本で誰よりも角物細工を見てきたが、このような細工は初めてで感動した。
しかし、凄い虎竹だ。竹の質も段違いに良い、今の籠なら負荷のかかる竹ヒゴは弾いてしまいかねないのだが、この竹はどうだ。そんな素振りは1ミリもない、竹の質か?職人の腕か?おそらく両方なのだ。
コメントする