昨日は「多少のキズも味わいとして感じていただきたい」とお話ししたばかりだが、そうかと思えばこのように美しい惚れ惚れするような竹編みがあるのも竹の世界だ。今が伐採の季節、旬の真竹は寒暖差の大きい土地の竹、それを丁寧に磨いて手に触れてもスベスベの竹肌に仕上げている鰻筌だ。
一日に百匹も鰻を捕る事があると聞くと、まるで川漁師みたいだと思ってしまうが、田舎では何処の村でも自然と向き合う事に卓越した方が一人や二人はいるものだ。鰻が通る肝心な仕掛け部分をエギと呼ぶ、この作りも綺麗で獲物がスムーズに入っていきそうだ。
鰻が好きな方は多いかと思う、しかし今の世の中は養殖ばかりで自然の中で鰻を捕る機会など、そうそう無いのかも知れない。何を隠そうボクなど鰻と言えば、祖父に連れられ大阪千日前に出た時に、今は無くなってしまった「いずもや」と言う店で食する以外に外食は一切なかった。
鰻が嫌いなワケではない、大好物だ。しかし、鰻は店で食べるものではなく、川で捕って家でさばいて焼いて食べるものだったのだ。鰻をまな板に打ち付けるキリが台所に常備されていた。
だから特に竹編みの道具については小さい頃から詳しくこだわりがあった、プラスチック製の筌が登場したが川に似合わないと思い大嫌いだった。真新しい筌では竹の香りが強すぎて実は鰻を捕るには不向きだ、エサで工夫したり、田んぼの泥の中に沈めたりして竹を馴染ませていく。その工程から鰻捕りがはじまっているのだ。
そんな自分が、これは日本一だと思う鰻筌、年始早々これだから竹はオモシロイ。
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