2023年の書き初め百枚

 
虎竹筆


今年の書き初めは木版画家の故倉富敏之先生の「かごはこづくし百選」という作品に登場する竹冠のついた100の文字と決めていた。竹職人さんの工房に掛けられていたのを見た時の衝撃は今も忘れられない。竹は昔から人々の暮らしに深く関わっていたから、生活道具はもちろん衣食住すべてに竹冠の文字が多い。大漢和辞典には漢字が5万文字も収められているそうだが、そのうち竹冠の文字が1025字もあるという。


書き初め2023


そんな中から倉富先生が選ばれた文字は非常に難しく、一体何と読むのかさえ分からなかった複雑な文字もあるが、すべて籠や容器として人々の役に立ってきた道具たちを表した字である。


虎竹筆


数年前、竹虎のテーマソングを作っていただき社員一同に参加してもらって録音した事がある。その際、スタジオなど使わずに虎竹の立ち並ぶ工場に機材を運んでいただき歌ってもらった。虎竹の歌を虎竹たち自身にも見守ってもらいたいと思ったからなのだが、今回はも虎竹の中で文字を書きたいと思った。虎竹の中で虎竹筆を使い、竹の文字を書いたのだ。


虎竹筆で書き初め


朝から始まり昼までかかっても全く終わらない、気がつけば夜になっていた。


虎竹筆


天を目指してスクスクと真っ直ぐに育つ竹は、縁起が良いので命名筆に使われる事がある。このような時には動物の毛を避けるという意味もあるけれど、それより竹のもつ不思議な力を信じてだろう。虎竹の筆入れ、馬蹄型の竹編み筆立てなど、幸運な道具を使っていた当日は忘れていたが、ちょうど10年くらい前に同じ場所で筆文字を書いた事を後から懐かしく思い出した。




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