「昔より目籠は鬼の怖るるといい習わせり」と江戸時代の「用捨箱」という随筆に書かれてる事を知った。竹細工には編み目を籠目とも言って様々な種類があるけれど、沢山ある中でも六ツ目編みは典型的な形で虎竹六ツ目ランドリーバスケットなどシンプルな籠に多用されている。この六ツ目の六角形に不思議な力があり魔除けの印として使われていたそうだ。
現在では、そのような六ツ目編みの事など若い職人はあまり知らないのかも分からない。しかし、この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」では、竹の事しか知らないので当然と言えば当然なのだが「竹」という文字と共に「籠」という漢字が度々登場する。この「籠」という文字は「龍」の上に「竹」がのっている事から籠が龍を封印する神秘の力があるとも伝えられ、庶民が着る衣類のデザインにも取り入れらるだけでなく武将にも好まれていたと言う。ちょうど新春を迎えようとする、このタイミングで武将と言えばこの伊達政宗に登場いただく他ない(笑)。
山梨県で撮られた民家の写真を見た事がある。茅葺屋根のテッペンに届きそうな程の長い竹竿に六ツ目編みの籠が取り付けられていた。これは、目の多い物が悪霊を追い払うという風習だが、このような目に見えない力を敬い崇める言い伝えは籠に限らず箕なども含めて竹や笹には多い。
竹と日本人がいかに近しい関係だったかと改めて思う。籠目の伝承などは知らなくとも、竹の温もりや丈夫さ、継続利用可能な天然資源として見直されるべき存在感は、実は昔よりも高まっている事を来年も声を大にしてお話ししたい。
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