虎竹の命名の父である牧野富太郎博士生誕160年の節目に、牧野植物園に改めて虎竹を移植したいと思っていた。植物園のリニューアルを機に虎竹を移植させてもらってから早いもので20年が経っている、下に掲載しているYouTube動画「牧野植物園、あれから20年!(The Kochi Prefectual Makino Botanical Garden)牧野富太郎博士命名の虎竹は!?」でも話しているけれど、どうも虎竹に元気がない。
テングス病など抵抗力が弱くなってきた竹に見られる症状もある。そんな折に生誕の節目と共に、来春からはNHK朝ドラ「らんまん」で牧野博士がモデルとして登場されると聞いて、これはちょうどタイミングではないかと感じたのである。
虎竹移植プロジェクトは、幸いにも牧野植物園さんからは移植の快諾を頂いた。後は虎竹の選別という事で候補の竹林に数日通って植え替えに適した虎竹を探す事になった。
100年近い前には虎竹の竹林面積は今のように広くなくて、虎竹の里では竹を移植しながら竹林を広げてきた歴史がある。当時は植え替えと言っても同じ気候、土質の狭い地域だったから虎模様など全く気にすることなく移植したそうだ。最初は色の付かない虎竹も、時が経つにつれて色づきの良い竹に育ったそうだから、さすが虎竹の里だと思う。
ところが、今回の移植は40数キロも離れた五台山の牧野植物園。全く違う土地では虎竹がうまく育った例は今までにない、だから出来るだけ選りすぐった竹を持って行きたいと思っているのだ。若いうちは色づきは良くないけれど、元気な若竹でしかも色づきがあり、太さも頃合いの竹となると数は限られる。しかも、ただの伐採ではなく、根切りして運んでいくのである。竹根に触れる事を山の職人は極端に嫌がる、今度も山の職人と同行して許しをもらった竹だけを大事に持っていく。竹林を繋いできた先人に最大限の感謝と敬意を払いながら、命の山道を今日下って行く。
コメントする