暮らしの中の竹細工

 
暮らしの中の竹籠


「竹のある暮らし」と30年来言ってきているけれど、日本の今の生活では地方に暮らしている人でさえも意識していないと竹と触れ合う機会など皆無の方も多いと思う。ボクの小さい頃には、居間も台所も竹だらけであった。小学校の時に新築された自宅では、県外から来られるお得意様に宿泊いただくのが常だったから二階は旅館の客間のような作りになっていた。


虎竹の里は、交通不便な所にあって当時はホテルや旅館などが近くになかったのだ。来られるのは竹関係の方ばかりなので、自然と使う食器類は配膳するお盆などにいたるまで全て竹製が使われていた。だから、もしかしたらボクの記憶は少し偏りがあるのかも知れないと最近思っている。


水切り籠


しかし、それでも当時は近所の友達の家にいけば、まるで色でも塗ったのか?と知らなければ思ってしまうような美しい経年変色した竹籠などは普通に転がっていた。


脱衣籠


これは底部分が上げ底になっていて通気性抜群の脱衣籠だ。本体編みは竹表皮を残してあり、口巻と足部分は竹表皮を薄く剥いだ「磨き」なので変色具合が違っていて、これが又たまらない。そこまで古い籠でないはずなのに、ここまで綺麗に進化するのは昔から良材の出る竹林で伐採された素材だからかも知れない。普通は右巻で仕上げられる口巻が反対に巻かれてるのに気づいた方はかなりのツウである。そのとおり左巻の籠なので、九州の特定の地域の籠でなければ職人は、きっとが左効きだと推察できる。


水切り籠


この水切り籠の口巻も磨きである。時間が経つことに飴色から赤みがかったこげ茶色のような色合いに深みが出てくる。内側に滑らかで水分をはじく竹表皮がくるように編まれてるのも職人の知恵で、収納するものを傷めず水きれが早くなる。




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