ナリヒラダケ(業平竹)について

 
ナリヒラダケ (業平竹) 、ダイミョウチク (大名竹)


「この筍は旨いよ、昔は大名しか食べられなかったからね」そう言って、出してもらった炭火焼きの大名竹は絶品だった。高知県特産の四方竹などもそうだが、小振りな竹の筍は総じて美味しい、大名竹とは業平竹(ナリヒラダケ)の事で高さは4~8メートル程度と小型の竹で枝が短い事から庭園用としても多用されている。


ナリヒラダケ (業平竹) 、ダイミョウチク (大名竹)


ナリヒラダケなど名前は知らずとも、このように竹葉が特徴的な丸い形になった竹をご覧になられた方もいると思う。昔は、このような葉の形に自然となる竹があるのだろうか?その割には河川敷で見かける事はないなあと思っていた。よくよく見てみれば整いすぎている、さすがにこのような葉の形にはならないだろう...、いやいや、しかし、竹は神秘の植物で日本国内だけでも600種もある。もしかしたら、このくらいの芸当ができる竹があっても不思議ではないと考えていたのだ。


ナリヒラダケ (業平竹) 、ダイミョウチク (大名竹)


ところが、やはりこのように整って竹葉が美しく丸くなることはなく、鑑賞のために庭師さんが剪定されている。新竹が伸び切る6月頃に枝の3節目でカットしているそうだ。その後3ヶ月くらいかけて竹葉が伸び9月には段になる(形が整う)との事だった。青々とした稈の色合いも魅力的で、綺麗に見せるための間引きもしっかりされている。


ナリヒラダケ (業平竹) 、ダイミョウチク (大名竹)


ところで、この竹の名前の由来が面白い。容姿端麗な形は全体的には男性的、しかし、節の感じが女性的な優しさだと言うことで光源氏のモデルの一人とも言われたイケメンの平安貴族、和歌の名手でもあった在原業平(ありわらのなりひら)から来ているそうだ。竹を見て六歌仙の一人の名前を付けるとは(ちなみに、平安時代を代表する六歌仙の一人には小野小町がいる)誰がそんな命名をするのか?凄い感覚ではないか?そう思っていたら、何と命名は日本唯一の虎竹と同じ高知県出身の世界的植物学者、牧野富太郎博士だった。さすが、参りました。


牧野博士生誕160年の記念でもあり、只今牧野植物園に博士命名の虎竹移植プロジェクトが進んでいる。3日かけて虎竹を選定した様子をYouTube動画でご覧ください。




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