近年、竹の品質が少しづつ低下しているという話を職人たちとしている。これは北海道から九州まで全国的な傾向で、気候の変化や竹林の管理不足、病害、更に120年に一度の開花という複数の要因がからみあっていると思っている。若手職人の中にはテングス病になっていない竹林で竹を伐った事がないと言うから、この傾向は随分と前から続いている竹の大きな変化なのだ。
不思議な事に竹の種類も全く異なる遠く離れた竹同士が、いや竹類だけではなく笹類までもが同様に抵抗力が弱くなっているから、竹類は仲間同志で響き合っているのか?と感じたりする事もある。もちろん虎竹も例外ではなく、色づきのみならず竹質も以前とは違って粘りの無い竹が見られるようになった。だから、虎竹ミニバスケットのように竹を上手く扱わないと負荷がかかってしまう籠は特に編むのが難しい。
部材の多いピクニックバスケットを大きくするのは比較的容易だけれど、小さく作るにはいつも以上に竹材を吟味し、丁寧にヒゴ取りして完成させねばならない。しかし、そうして出来あがった小さな籠は苦労した甲斐があると思えるほど想像以上にカッコイイ。
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