皆様、空気清浄機「竹風」が出来ました。

 
空気清浄機竹風、竹虎四代目(山岸義浩)


ようやく空気清浄機「竹風」をご紹介できるようになった。最大の特徴は何といっても実際に本体内部の竹炭カートリッジに使われている2.5キロの竹炭粒だ。竹炭専用に改良された昔ながらの土窯を使い、800~1000℃の高温で焼き上げられた竹炭は、まさに熟練竹炭職人のプロの技。銀色に輝く光沢や、キンキンと金属音のようにかん高く心地よく響く竹炭を使っている。


空気清浄機竹風


本体ボディは竹集成材で格調高く作られている。ご存知のように竹は成長が早く、継続利用可能な唯一の天然資源とも言われているが、細く割っ竹を貼り合わせる事によって角材を作り調度品に活用される。竹の節部分が竹特有の模様となっていて面白い。


空気清浄機竹風


生まれ変わった「竹風」でやはり一番は日本唯一の虎竹を前面に張り合わせ、虎柄模様の美しさを感じていただける事だ。色々とデザインも変更し、試作もやり直しながら時間をかけて創り上げただけあって高級感もあるので、ラグジュアリーな特別な空間にも似合う逸品となったのではないかと思う。


空気清浄機竹風


空気清浄機竹風


竹は不思議な素材で、和室でも洋室でも自然と馴染んでしまう。何人かのお客様のお顔を思い浮かべながら開発したが、色々な場所で目的でご愛用いただけると想像するのが楽しかった。お便りいただく化学物質過敏症のあの方はどうだろうか?海外からのお客様をお迎えするホテルや旅館さんに置いてあれば、喜んでもらえるのでは?日本でここにしか成育しない歴史と文化を持つ竹が人を魅了する力、試験機関でも絶賛いただいた竹炭の機能性の力、お届けできるようになりました。


川原の竹林を思う

 
護岸竹を上空から見る


眼下に一本の川が流れている、緑のラインになっているので良く目立つ。けれど、多くの方は何気に見過ごしていて、これがの色だとは思われないのではないだろうか。竹だと、どうして分かるのか?さすが竹虎四代目さんは、田舎暮らしだけあって目がいいですね?いやいやそうではありません。日本の河川には護岸のために竹が植えられているのだ、小さい頃から「地震の時には竹林に逃げろ」と教わってきたが、竹の強靭な根が天然の鉄筋コンクリートとなって洪水から人々を守ってきた。


だから河川敷には竹が多い、竹の間隔が広くなりがちな大型の孟宗竹よりも真竹や淡竹が植えられている。日本の三大暴れ川のひとつ、四国の吉野川もずっと続く竹林は真竹だ。虎竹の里の近くの新荘川は面白くて真竹にまじって布袋竹などの小型の竹、メンチクやメゴササなど笹類などグリーンベルトとなった竹林には色々な種類が生えている。


真竹伐採


川辺に育つ竹は、水分が多すぎるて竹質が柔らかく竹細工に不向きな事が多い。ところが、砂地など地質の関係だろうか?河川敷であっても硬く品質の良い竹が伐採できる場所もある。


竹職人道具


この竹林もそんなひとつ、季節になり真竹の伐り出し作業が続いている。竹の質さえよければ平坦な場所が多く、道路にも近い竹林の仕事は比較的恵まれている。


真竹


ところが、強い風に倒れてしまった竹。風よけのために竹林の周りの竹を残しながら、中央部は手入れして日当たりも良く良質な竹に育つようしている努力が水の泡だ。


真竹


台風で傷んだ竹葉


強風で傷むのは竹根や稈、そして竹葉までこのように裂けてしまう。


虫害の竹


稈に穴がひとつだけ開けられた竹がポツリポツリと見られていた、タケノコ虫なるものだと言うけれど虎竹の竹林ではあまり見た覚えがない。そう言えば、先日行った竹林では山ヒルが大発生していた、石垣島のジャングルのような竹林でも山ヒルの事は何度も言われて、初めて見る大きな缶に入りの虫除けスプレーをしてもらった。ブラジルではもっとダイナミックな竹の害虫もいた事を思い出す、同じ竹林でもそれぞれの山なりの課題を抱えながら頑張っている。


「日本文化と暮らしに息づく竹~竹の無限の可能性」Bamboo in Japanese Culture & Lifestyle | Limitless Potential of Bamboo

 
Bamboo in Japanese Culture & Lifestyle | Limitless Potential of Bamboo(YOSHIHIRO YAMAGISHI)<br>


JAPAN HOUSE Los Angelesでウェブセミナーを予定している。12月8日朝10時(日本時間)からで、講演テーマは「日本文化と暮らしに息づく竹~竹の無限の可能性」。JAPAN HOUSEとは外務省がロンドン、ロサンゼルス、サンパウロという世界の三都市に開設している日本文化の発信拠点だ。


ジャパンハウスサンパウロ、Japan House São Paulo、隈研吾


数年前、サンパウロに隈研吾さんの建築でオープンした際には日本の竹を集めた素晴らしい展示があった。日本の名人と言われた竹職人の、まさに用の美の極致のような竹細工があるかと思えば、竹の現代アートで世界的に活躍されている四代田辺竹雲斎さんの虎竹を使ったインスタレーションなどがあり、会場は竹一色の凄い盛り上がりだった。


YOSHIHIRO YAMAGISHI、Japan House São Paulo、竹虎四代目講演


そんな中で、在サンパウロ日本国総領事館主催の講演会「日本唯一の虎竹と共に100年、持続可能な地域資源活用」と題して日本の竹についてお話しさせてもらった。ブラジル全土から来られていたと後から聞いたが、この時の熱気は忘れられない。実はアマゾン流域には世界一の竹林が広がっている、それらの竹の利活用は大きな関心事であり、日本の竹の事が地球の裏側の国でも注目されていると肌で感じた。


ジャパンハウスサンパウロ、Japan House São Paulo、竹虎四代目(山岸義浩)、YOSHIHIRO YAMAGISHI


その後、日本の竹の現状はどんどん変わりつつある。今回はコロナのため現地でお話しできない代わりに、インターネットを使って世界中の方にご視聴いただけると楽しみにしている。アメリカで開催されるセミナーなので申し込みフォームが英語だし、もしかしたら臆してしまう方がいるかも知れないけれど、どうかご安心ください(笑)自分は英語などしゃべれないので、日本語を通訳いただきながらの講演だ。


竹虎四代目(山岸義浩)


ボクは良く言う事があるのだが、現代の日本の若い皆様は、自分たちから見れば竹が身近でない外国の方々と同じなのだ。今度のウェブセミナーを聴講されるのはアメリカはじめ海外の方が多いので、竹の魅力を出来るだけ分かりやすくお話しするように考えている。だから、竹細工や竹製品を知らない日本の方にも是非ご覧いただきたいと思っている。


日本文化と暮らしに息づく竹~竹の無限の可能性(Bamboo in Japanese Culture & Lifestyle | Limitless Potential of Bamboo)」は、どちら様でもウェブサイトに飛んでもらい「Register Now」ボタンから無料でお申込みできます、是非ご登録よろしくお願いします。
※記載の時間はアメリカ西海岸時間ですが、日本時間では12月8日午前10時開始です。


帰ってきた竹虎前掛けショルダー

竹虎前掛けショルダー


ずっと前々から、もう一度ご紹介できる事があればと考えていたのが竹虎ショルダーバッグだ。このバッグも最初に作ったのは随分と前の事だ、酒蔵で使われている前掛けなどを使ってバッグや小物を作らている方にお会いして色々拝見させてもらっていたが、竹と同じように布も大切に使えば渋い色落ちと味が出ることを教えてもらった。


竹虎職人


竹虎の工場で使っていた前掛けでショルダーバッグを作ってもらうと、思った通りの出来栄え。とにかくカッコイイのと使い勝手がいいので自分は本当に良く使っている。最初のものは裏地に高知のフラフ(高知では端午の節句に鯉のぼりと並べて立てる大きな旗)を使っていたが、古布なので少し弱いかった。新しいタイプは普通の裏地にした代わりに価格も少し下げている。

 
竹虎前掛けショルダー


竹虎前掛けショルダー


竹虎前掛けショルダー


表には竹亀から竹虎へ屋号を変えて心機一転させた祖父の思いがこもる竹虎ロゴマーク、ウラには竹虎の筆文字。好きな人しか持てない(笑)マニアだけのショルダーバッグなのです。


孟宗竹と真竹の寸胴

 
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「寸胴」と言えば、どうだろうか?一般の方はラーメン屋さんの厨房などにあるステンレスなどの大きな鍋を思い浮かべるのではないか。えっ?ご覧になられた事がないだろうか?美味しいラーメン屋さんは調理場自体も味の一つみたいになっている、大きな鍋に色々な食材いれてグツグツやって湯気が立ち込めている様子は見ているだけでお腹が空いてくる。


しかし、今回の寸胴は厨房に置かれているものではなく竹製だ。竹の寸胴は内側に銅板を入れ花器として使われるものだ、材料としては孟宗竹や真竹が使われるけれど、この竹はどちらだろうか?


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もう一本の寸胴と見比べると太さも同じくらいだし、色合いも油抜きして似たような感じになっているので孟宗竹か?真竹か?と聞かれても困ってしまう。実はそんな時には、節の部分に注目してもらいたい、節のラインが一本なら孟宗竹だし、二本ある方が真竹なのだ。


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こうして並んでいると、言われなければ多くの方が同じ竹だと思ってしまわれるだろう。しかし、竹はこのように見た目は微妙な違いであっても竹質が全く異なってくる。たとえば寸胴には両方の竹も使われるけれど、竹籠やザルなどに使う場合には繊維が細かく粘りのある真竹が使われる事が多い。孟宗竹のように大きくて扱いづらく、繊維の粗い竹は敬遠されるのが普通だ。


しかし高知県では、荒物の竹籠を編む文化が近年まで残っていたから身近で豊富にある孟宗竹が活用されてきた。真竹でも孟宗竹でも、あるいは淡竹でも、それぞれの竹を巧みに操る昔からの職人は凄いと感じる。だから、そんな地元の伝統竹細工にこだわって竹虎でも編組編みに孟宗竹をわざわざ使っているのだ。




#第一回竹虎インスタキャンペーン #竹虎グラム @taketora1894でインスタ投稿!

 
日本唯一の虎竹蓋付き小物籠


竹虎では、ほんの少しでも竹に触れていただける方が増えればと願いながらインスタグラムにも取り組んでいる。しかし、なかなか思うように進まない、こんなに素晴らしく楽しいものだから、もっと沢山の笑顔が作れるはずだと思っている。いつも言うように「笑」は「竹」と「二人」の文字で出来ている、竹を通してあなたと私で、沢山のあなたと沢山の私で、笑顔を広げられるようにしたい。そこで今回、一点限り日本唯一の虎竹蓋付き小物籠が一名様に当たるインスタグラム投稿キャンペーンを開始したのだ。


日本唯一の虎竹蓋付き小物籠、竹虎四代目(山岸義浩)


#竹虎グラム @taketora1894 #第一回竹虎インスタキャンペーン とキーワードを入れてドシドシとインスタ投稿ください!ワクワクしながらお待ちしています。


日本唯一の虎竹蓋付き小物籠


第一回目のインスタ投稿キャンペーンだからプレゼントは何しようかと店内をウロウロして決めたのが、この一点限り日本唯一の虎竹蓋付き小物籠。随分前に何かの試作で製作していた残りだ、2点か3点くらいしか作っていなかったのでレアな籠だ。お使いいただく方の発想で色々と面白くご愛用いただき又インスタで拝見できれば心から嬉しいです。




托鉢笠が登場、いつでも修行に出られます?

托鉢笠、網代笠、僧侶笠、修行笠、編笠、組笠、竹虎四代目(山岸義浩)


ずっと待っていた特注ハットが届いた!皆さまもスーツを誂えたり、シャツを作ってもらったりする事があるかも知れないが、さすが世界竹大使の竹虎四代目になると「帽子を作ってもらう」と言えば当然ように竹の編笠なのだ。それにしても予想を上回る凄い笠が編み上がってきたものだ。


托鉢笠、ドーム笠、まんじゅう笠、網代笠、僧侶笠、修行笠、編笠、組笠


そもそもこの笠は丸い独特の形なのでドーム笠、まんじゅう笠など言われる事もあるが、組笠、編笠、網代笠、僧侶笠、修行笠と呼び名も多い。しかし、本来は托鉢笠(たくはつがさ)で托鉢の修行をされている方が使われている、顔をすっぽりと隠せる形なので時代劇などで隠密が被っているのをご覧になられた方も多いと思う。

 
托鉢笠、ドーム笠、まんじゅう笠、網代笠、僧侶笠、修行笠、編笠、組笠


さて、注目いただきたい素晴らしい点がいくつかあって、その一つがまず竹ひご。竹繊維の模様が独特に表れているけれど、これは柾の竹ひごを使っているからだ。竹を薄く縦に割っているから一本一本の竹が強く粘りがある。詳しくは下に付けているYouTube動画で詳しくご説明しているのでご覧ください。


托鉢笠、網代笠、僧侶笠、修行笠、編笠、組笠


なんと驚く事に縁かがりまですべて竹!海外から輸入される托鉢笠も沢山あるようだが、さすがにこのような芸当は国産の熟練職人にしかできない技だ。この細かい編み込みを見ると柾の竹ひごが、いかにしなやかで、しかも強さを兼ね備えた秀逸な素材かかが分かる。


托鉢笠、網代笠、僧侶笠、修行笠、編笠、組笠、竹虎四代目(山岸義浩)


托鉢笠を編まれる職人さんを尊敬している。竹と向き合う時にイキイキとして楽しそうなので、こちらまで嬉しくなってくる。無臭の柿渋を5回重ね塗った笠の色合いは、紫外線によって色が濃くなってくるので機会があるたびに使いたいが街で被って歩いていたら人が避けていきそうではある(笑)。




竹炭パスタとトマトソース

 
竹炭パスタ、竹炭スパゲッティ


竹炭パウダーを使った麺類がついにイタリアンに登場した。お届け頂いたのは北九州小倉のイタリアン専門店デルジョルノさんの竹炭パスタ、黒光りした光沢が美しささえ感じる。さすが自社工場で製造されている生パスタは違うなあと思いながら、さっそく頂いてみたく大鍋を出してくる、茹でだすと湯気の中で踊る黒麺が食欲をそそる。


竹炭パスタ、竹炭スパゲッティ


トマトソースに合わせてみると、このインパクトは凄い。なるほどお客様に人気なのが分かるような、そんな色合いのコントラストなのである。


竹炭パスタ、竹炭スパゲッティ


竹炭パスタ、竹炭スパゲッティ


ご家庭でパスタを食する場合は、ほとんど乾燥パスタで生パスタを使う機会は少ない。生パスタは茹時間も短くソースがよりからみやすいと言われるけれど、麺のモチモチ食感が楽しく香りも良くて本当に美味しい。竹炭が舌に残らないので二人前をあっと言う間に完食した。




スズ竹網代編みの芸術、別注アタッシュケース

 
スズ竹アタッシュケース、竹虎四代目(山岸義浩)


別注のスズ竹アタッシュケースが完成した。炭化加工で煤竹のように渋い色合いになったスズ竹を、緻密に網代編みした本体はもちろんなのだが、実はその他の細かい部分にこそ隠された匠の技がある。持ち手を触って思い出すのは「真竹より篠竹、篠竹よりスズ竹、スズ竹より根曲竹」と言う東北で語り継がれてきた言葉。根曲竹が使われている持ち手は、使えば使うほどに色合いが深まり光沢が増してくるに違いない。


スズ竹アタッシュケース


自分の持つアタッシュケースは、炭化の方法が違っているので根曲竹持ち手と留め具に使われている煤竹の色目があまり違わない。しかし、この新しく出来あがったばかりのバッグの持ち手も、いずれは煤竹に少しづつ追いついていく。義母から譲られた根曲竹買い物籠の経年変色から考えると30年か40年か(笑)。


スズ竹アタッシュケース


内側の革の色合いは、炭化したスズ竹の色具合で決めたのだが、ちょうど良い感じにまとまった。竹の軽やかさを活かすために内張を布にする事も多い、けれどこのバッグになれば若干の重さが出るにしても革以外の選択肢はない。


スズ竹アタッシュケース内側


スズ竹アタッシュケース


革ベルトも竹にとても良く似合っている。


スズ竹アタッシュケース、竹虎四代目(山岸義浩)


良いものが出来ると手放したくなくなるのはボク悪いクセだ。ああ、それでも正直自分が提げて出かけたい。




竹空気清浄機の変遷について

 
竹空気清浄機初期デザイン


竹空気清浄機をリニューアルすると決めてから随分と時間が経ったように思う。念願の製品は無事に完成はしたものの、性能テストをやり直しているので又遅れてしまっている、性能テストの評価が出たらすぐに対応しようと思い前の資料を見ていたら初期のデザイン案が目にとまった。今回は清浄機の機械部分から全て別誂えで製作してもらっている、3年前に高知県地場産大賞奨励賞を頂いた時にご一緒していた地場の機械メーカーさんだ。こうして県に認められる機械を製造されているのならと思いお伺いしてみたら、本当に素晴らしい空気清浄機を作られていた。


竹空気清浄機初期デザイン


そこで、さっそく工業デザイナーの方に入っていただきタタキ台としてあがって来たイメージがこれらの画像だ。最初は竹集成材を全面的に使い、虎竹をワンポイントであしらう形に考えていた。頭の部分は、もっと大きくしてテーブルのようにも使えるデザイン等も描いてもらっていたと思う。


竹空気清浄機初期デザイン


ちょうどスクエアバスケットを製作し始めていたので、この竹籠を収納できるようにすれば良いのでは?そんな案も出た。これは少し良いと思ったけれど、空気の排出口をどうするか課題となり消えてしまった。


竹空気清浄機初期デザイン


何度も何度も打ち合わせしていたある時、ふと思いたって今までの路線をいったんゼロにして考え直す事になる。待てよ、届けたいと思っているのは何だったか?今、感じている虎竹の林を抜けていく風の心地よさだったな...。


虎竹空気清浄機「竹風」


そうして、出来あがった虎竹空気清浄機「竹風」。思えば沢山の方にお力添えいただいて、ようやく形になった。当初からは考えられないくらい高級感があり、ラグジュアリーな雰囲気を醸し出している、虎竹もいい表情だ。ありがとうございます。


日本で竹虎四代目だけでは?古い飯籠と新しい上蓋

古い手付き飯籠(チンチク)


手付きの飯籠という竹籠がある、これは炊飯ジャーや電子ジャーなどが無い時代に余ったご飯を美味しく保管するためのモノだ。飯籠に布を敷いてご飯を入れて、ちょうど今座っている縁側のような場所の軒先に吊るしておく、長い持ち手はこのためだ。日陰で風通しもよく野良ネコなども手が出せない、縁側で遊ぶ小さい頃の記憶では見上げるといつもこの籠があったように思う。


手付き飯籠


ここにある籠の中では、大きなサイズで尺3、つまり直径約40センチくらいある。余ったご飯を入れるにしては少し大きくないかと思われた方は素晴らしい!そうなのだ、当時は三世帯が暮らすのが当たり前だったし日本全体がまだまだ裕福ではなかったせいか兎に角お米を食べたのだ。ボクの父なども竹屋の重労働の中で「仕事がメシを食べる」とか言って大きな丼に4杯、5杯とかき込んでいた。


蓬莱竹の上蓋


「竹は世につれ人につれ」といつも人に話すのは、暮らしの中にある竹のサイズや形などが、人に合わせて常に変わってきたからだ。飯籠としての役割を終えた籠も上蓋を付ければ又新しい使い手が見つかるかも知れない。自宅の倉庫だったり、職人の仕事場にあった古い飯籠を見つけては失われてしまっている上蓋を別誂えしてもらった。出来栄えに完全満足している訳ではないけれど、まあこんなものだろう。


シンニョウチク、竹虎四代目(山岸義浩)


上蓋に選んだ素材は、その時にたまたま良質の真竹がなかった事もあるけれど、どうせなら現在の竹細工ではほとんど使われる事がない蓬莱竹でしたいと思った。雨の多い高知では、このように護岸のために川沿いに植えられている事が多い竹だ。


ホウライチク、竹虎四代目(山岸義浩)


株立する南方系の竹でしなやかで使いやすいが、何と言っても節間が長いので昔から籠編みの材料として使ってきた古老の職人には人気がある。


持ち手の虫喰い


古い竹細工だから虫が喰った穴がある場合もある、今は虫をおらず強度的にも全く問題ないので茶杓のように竹の景色として楽しむ事ができる。




虎竹リースを飾ってみると

 
虎竹リース


リースと聞くと洋風な飾りのイメージだけれど、こうしてお正月バージョンにしても流石に竹だから良く似合う。虎竹リースの渋い模様が、思い思いの飾りを引き立ててくれそうだ。


虎竹リース


日本唯一の虎竹は淡竹の仲間で孟宗竹のように大きな竹ではない。このリースは直径6センチ程度の竹を割って、手触りが良いように丁寧に面取りし、何と4メートルの長さの丸竹材料を一本そのまま使って作られている。なるほど、だからしっかりした質感なのだと納得だ。


虎竹リース


もうアッと言う間にやってきそうなクリスマスの飾りに、竹リースが前にでた和テイストの飾りも面白いかも知れない。


虎竹リース


そしてクリスマスが終われば、すぐに迎春の準備。一味違うお正月になりそうだ。


幻の竹炭木琴の音色

 
竹炭木琴


竹炭木琴が奏でる音色の衝撃は今でもハッキリと覚えている。もう20年近くも前の事になるのだが、高温で焼き上げた最高級の竹炭を扱っているとキンキンと甲高く、まるで金属のような音がする。この音が楽しくて意味もなく触ってしまうほど耳に心地良いので、きっと風鈴に使えるのではないか?そう考えていた時期がある。


竹炭木琴、竹虎四代目(山岸義浩)


同じように思われている竹炭職人がいると知って見に行くと、これが素晴らしい竹炭風鈴で一発で好きになった。よく乾燥させた竹は軽やかな音をたてるけれど、硬く焼いた竹炭は更に透明感があって可愛らしく響く。そして、その時に傍らにあったのが、この竹炭木琴なのだ。


竹炭木琴


土窯で焼く竹炭は孟宗竹の質や時期によって品質が一定ではないのが普通だ。色々と焼き上がる大量の竹炭の中から一本づつ音を確かめながら並べていくという、気の遠くなるような仕事にも感動した。だから本当に数台程度しか作る事ができないが、当時使っていた竹虎ロゴマークも入れてもらった。


竹炭木琴


「もしかして、あの美しい音が聞けるのではっ!?」少なくとも10年前には全て無くなっていたと思っていた竹炭木琴が、偶然にも倉庫の奥から出てきたと聞いて色めき立った。台に使っている孟宗竹にヒビが入っていたため販売されずに残されていたようだ。懐かしい姿に思わず笑みになる、専用の小さなバチも無くなっていない、恐る恐る叩いてみると、あの音!竹炭とは思えないような不思議な響き、空の上で天使が叩いているような(言い過ぎかも)音色をお聴きください。




桂離宮か?竹と親しむ広場か?淡竹(ハチク)の生垣

竹と親しむ広場


今では全く想像もつかないのだが、東京江戸川区の篠崎は昔は篠竹が生い茂る土地だったそうだ。江戸川沿いに続く篠竹を使い発展した竹細工が篠崎ざるとして近年まで残っていて、かっては200軒もの竹職人がいた土地柄だ。東京で竹細工とは少し意外かも知れないけれど、昔は生活必需品のひとつだったから人口が多くしかも素材が豊富となれば、産地が出来るのはしごく自然な事だったのだ。


淡竹生垣


さて、そんな篠崎だからこそ今も大切にされている「竹と親しむ広場」(江戸川区篠崎町5-5)がある。大きな道路が通り、商店や住宅が立ち並ぶ一角に突然現れる竹林!訪れた方は、一体何だろうかと思う方もいると思う。まるで奇跡のような、都会のオアシスとでも呼びたいようなユニークな公園だ、竹垣が設えられて孟宗竹や真竹、淡竹はじめ色々な種類の竹や笹が風にたなびいている。


淡竹生け垣


自然の竹林にあるような、本来の大きさの竹が立ち並んでいる訳ではないので何気に通り過ぎる方も多いも知れない。ところがだ、この「竹と親しむ広場」の見どころは実は淡竹(ハチク)にある。よくよくご覧いただくと広場の一角には日除けの棚が設けられている。この日除け棚こそ竹の素晴らしい特性を活かした、ちょっと他にはない素晴らしいものなのだ。


淡竹日よけ棚


青々とした竹葉が強い日差しを物ともせず繁っているが、この日除け棚は隣に生えている淡竹を折り曲げて木製の枠に取り付けて作られている。毎年育つ淡竹の新竹の伸びが止まる6月頃に稈を折る、若竹なので柔らかく手でおれるので特別な道具は必要ない。


桂離宮の生垣(桂垣)


竹を折るなど乱暴だと思われるかも知れないが、京都の桂離宮に見られる桂垣と呼ばれる生垣と理屈は同じだ。桂垣の場合は歴史もあり、スケールも違って約250メートルもの長さがある。大雨で桂川が氾濫した時に備えての生垣なので淡竹を折り曲げて全面を覆うように作られているけれど、元気に生茂る竹葉に竹の生命力の強さを改めて感じる事ができる。


淡竹


「竹と親しむ広場」に来られたら是非この淡竹の日除け棚をご覧いただきたい。注意して見ると竹を折って作られている事が良くご理解いただける。しかし、どうして先程から淡竹、淡竹と連呼しているのか?日本唯一の虎竹が淡竹の仲間だからではない!竹には維管束という水や養分を吸い上げる管が先端まで通っているけれど、淡竹はこの維管束が他の竹に比べて密度が濃い、だから折ってもその先端部分が枯れる事がないのだ。


一度試したことがある方がいて、孟宗竹でも同じように折って生垣作ってみたけれど、繊維が粗いため水上げせず全て枯れたそうだ。真竹はどうか?半分枯れて、半分は生きているとの事なので、やはり淡竹のように生垣にする事はできない。竹と一言に言っても日本国内に600種、様々な竹があり性質も違う、ご興味の沸かれた方は竹チューバー竹虎四代目の世界へ「孟宗竹と淡竹の違い?」あたりからどうぞ(笑)。




白竹八ツ目バスケットが編み上がる

白竹八ツ目バスケット職人底編み


白竹八ツ目バスケットは、誰でもご存知のスーパーのお買い物かごのような形と言えば分かりやすい。底を広く編んでおり、品物の出し入れが容易であり抜群の安定感のある手提げ籠なのだ。スーパーマーケットに置かれているカートにスッポリと収まるサイズなので、ご家族の分まで沢山買い物される方などにはマイバックとして特に重宝されると思う。


白竹八ツ目バスケット職人籠編み


ところが、竹籠や手提げ籠バッグは完成された物を目にする機会はあるけれど、一体どのように作られはじめて一つの製品となるのかは、ほとんど知られていないのではないだろうか?


白竹八ツ目バスケット職人


そこで、竹虎では竹職人の手仕事を出来るだけ動画でもご覧いただけるようにしているが、今回の白竹八ツ目バスケットでも竹籠の底編みから立ち上げ、木枠をはめ込んでの編み込み、口巻、持ち手を藤巻きして仕上げて完成するまで、しっかりとご紹介している。


白竹八ツ目バスケット職人


白竹八ツ目バスケット型枠


ここまで編み上がれはのもう少し、後は木枠を外して口巻に取り掛かる。


白竹八ツ目バスケット制作


角い形は口部分の当て縁で決まる、楕円形に見えていた籠が一気に四角のバスケットの形となる。角籠の代表格のように昔から作られてきた御用籠も本体編みまでの工程では、同じように楕円の籠にしか見えない。


白竹八ツ目バスケット口巻


これで、皆様の知っている白竹八ツ目バスケットの形が出来上がった。


白竹八ツ目バスケット籐巻持ち手


白竹八ツ目バスケット籐巻


後は太い籐を芯に入れてしっかりと巻き込み、大容量の籠に入る重みを支える丈夫な持ち手にしていく。製作の様子は、1時間26分とかなり長い動画となったが分かりやすくまとめているので是非ご覧いただき、竹職人の手仕事を堪能していただきたい。




温泉旅館やホテルでも活躍する虎竹細工

虎竹トイレットペーパー籠


そもそもは一般のご家庭用に製作したものなのだが、温泉旅館さんや観光ホテルさんなどでお使い頂く虎竹細工がある。一体どんな籠たちかと言うと、まず虎竹トイレットペーパー籠、そのまま置いておいても良さそうなロールペーパーだが足付きの六ツ目編みに入れるだけで個室がワンランク上の上質な空間になるのではないか?そんな思いでご提案している竹籠だ。


 


虎竹トイレットペーパー籠については、自分たちが惚れ込んでいる虎竹模様や竹籠の魅力を少しでもお伝えしたいと思い、YouTube動画も作っているので一度ご覧いただけると嬉しい(笑)。


虎竹アメニティボックス


また、前に白竹アメニティボックスをご紹介させて頂いた事があったけれど、虎竹で編んだタイプは洗面台がシックな雰囲気になって引き締まっていい。


虎竹四ツ目衣装籠、スクエア衣装籠


近年の住宅には畳の部屋がないようなので、畳の温もりを感じられるのは温泉旅館に泊まった時くらいかも知れない。海外からのお客様も増えていると思うので、日本に来られたら是非畳の感触を味わってもらいたい。そこには浴衣があり昔ながらの定番の衣装籠がある、昔ながらと言っても虎竹で編んだスクエアバスケットは、ほんのここ2年前から新しく作り始めたシリーズだ。


虎竹スクエアバスケット、リビング四角


スクエアバスケットは、四角い形だから色々なサイズが編めると言うことで、お客様のご要望に合わせた別注やオリジナルの製作をお受けする事も多い。このようなに深さのあるタイプも色々と使い勝手が良いと好評いただいている、持ち手も付けているので持ち運びも便利だと思う。




おにぎりが一つだけ入る虎竹弁当

 
別注虎竹弁当箱


おにぎりが一つだけ入る竹編み弁当箱と聞いて、最初はどうしたものか?と正直思っていた。ちょうどの伐採がはじまり職人の手も空いていない、たまたまボクも竹林に向かう所だった、車内ではたして実用性があるのだろうかとも考えていた。別誂えの竹籠は本当に簡単ではない、編み上がる籠は一つだけれど実はその陰に2つや3つは失敗や試作など余計な手間がかかってしまう。


別注虎竹弁当箱


サイズを小さくするだけだと思われているけれど、竹ヒゴの幅や厚み、長さを全て変えて調整せねばならない。特にスケールダウンする場合は熟練の職人でも相当てこずってしまう、最初の試作で満足出来るものが編み上がることは稀だがその手間を価格にのせられないので誰しもが尻込みしてしまうのだ。


別注虎竹弁当箱


それでも丸い弁当箱におにぎりが一つコロンと入る姿が見たくなった。


別注虎竹弁当箱


日頃から竹細工をご愛用頂いている方だから、きっと同じような想像をされているのではないか?


別注虎竹弁当箱


完成したら予想以上の可愛さ、常連のお客様にも難しい籠を形にした匠の職人にも感謝である。


新しい真竹の季節

 
苦竹


今年も新竹の季節になった、先日の孟宗竹に続いて今日は真竹だ。早朝の真竹は朝露に濡れて青々として美しい、節間の短いものがあるが、太さもちょうど話していた頃合いの使いやすそうな竹だ。


真竹の葉


全国各地の真竹にテングス病が広がっている。大事に管理されていた頃なら異常が見つかった時点で伐採され燃やされていたのだけれど、これだけ広範囲になってしまうと手が付けられない状態だ。しかし、それに比べてこの辺りは手入れが良く行き届いているのだろう、竹が健康そうで安堵する。近年は竹の葉の色合いが芳しくない竹林も多いので、ここは日当たりも風通しも良く素晴らしい。


真竹


竹林に入る、なるほど思ったとおり適度に伐採されている良い竹林だ。プログをご覧になられる方の中には、そこまで綺麗に竹の伐採がされていないと感じられる方もおられるかも知れない。しかし、ボクたちの竹は生きるための竹林であり、生業としての竹林だ。お客様に見せるための観光用竹林や、整備する事が目的の竹林ではないのでこれで十分。


荒れた真竹林


ちなみに参考までに紹介させて頂くが、全く手つかずの竹林は同じ真竹でもこんな感じとなる。


真竹の竹林


筍農家の孟宗竹は竹のウラ(先端)を飛ばして日当たりを良くする事がある。この竹林にも同じような竹が何本かあるのが気になった、これはもちろん人為的にしたのではなく台風の風で若竹がやられている証拠だ。


真竹


秋晴れの気持ち良さもあるけれど、上機嫌なのは仕事の素晴らしさだ。まだこんな竹の現場が作れるプロがいるのだから、やはりこの世界は捨てたものではない。


昭和45年オープンの竹虎本店パンフレット

懐かしい虎竹苑パンフレット


昭和45年3月のオープンだから、今から52年前に竹虎本店はオープンした。一番最初は自社社員をはじめ、日本唯一の虎竹を生産する職人や、虎竹に関わって生活する地域の人達に、虎竹や孟宗竹、真竹がどのような製品になってエンドユーザーの手に届いてゆくのかを知ってもらうの展示場として建てられたものだったという。だから、当初の店舗は天井が高く作られていて、竹細工や竹製品はもちろんだけれど、煤竹やゴマ竹、図面竹、亀甲竹、白竹等ありとあらゆる銘竹と呼ばれる竹がズラリと並んでいた。当時の住宅には床の間があって、まだまだ建材や室内装飾としての竹の需要があった時代なのだ。

 
懐かしい虎竹苑パンフレット


ところが展示場のつもりで開けていると、当然のように遠くからのお客様が立ち寄るようになって来る。自分の生まれた頃からの10年間で日本の自動車保有台数は15倍になっているので、まさに昭和のマイカーブームではなかったろうか?国道56号線沿いだった店の前には、いつも車が停まっているようになった。そして、遂には広い駐車場を完備した新店舗が本社工場に隣接して建てられる事になった。


懐かしい虎竹苑パンフレット


そうこうしているうちに昭和58年(1983年)のNHK全国放送を契機に四万十川ブームが巻き起こる。観光バスでやって来られる、全国からのお客様が一挙に増えて店内は連日バーゲンセールのような状態だった。あの頃が竹虎本店が一番にぎわっていた時だった、資料の底から出てきた竹虎本店のパンフレットを見ながら懐かしく思い出す。


「花嫁修業」という言葉がある時代、花籠や茶道具としての竹への需要も高かった事が分かる。しかし、それだけではなく、まさに衣食住すべてに竹があって帽子からベルトやバッグ、アクセサリー、履物まで普通に竹製だった、なにせ竹にトレンドがあったのだから凄い。地元では皆が競うように付けていた竹アクセサリーのひとつ、竹ブローチがどんな風に編まれるのかをYouTube動画で紹介しています。




驚愕!銅製ピクニックバスケット

 
銅製ピクニックバスケット


竹虎のお客様の中には、ちょっと見た事のないような色目のピクニックバスケットだとお思いになられる方がいるかも知れない。ところが、変わっているのは色目だけではなく質感だった、手にすると竹の軽やかさではなくズシリとくる(笑)。ツヤ消し加工を施されているけれど、これは銅製なのだ。


白竹ピクニックバスケット


金属加工をされている作家の方の手によるもので、蓋を開けてみると銅の輝きが光を放っている。竹のピクニックバスケットに触発されるものがあったに違いない。しかし、基本的な編み方も同じで良く製作されている。


銅製ピクニックバスケット


もう随分と前になるか、ピクニックバスケットなど角物細工があまり見られなくなり、腕の良い職人さんもいなくなってしまった時代があった。ボクにとっては馴染みのある定番の竹製品のひとつだったから、何とか弁当箱の良さだけでもお伝えしたいと思っている内に種類も増えてきた。まだまだ昔のような竹細工には及ばないものの、日本唯一の虎竹を使った籠も少しづつ製作を進めている。


銅製ピクニックバスケット


「ワシの遺言やと思ってくれ」。同じ技法の竹編みで作られた衣装籠を、古い職人から手渡された事がある。虎竹が使われた逸品だ、何と覇気に満ちた虎竹なんだろう...。このような竹籠も他分野で活躍されている作り手の目にとまり、もっともっと広がっていけば面白い。


ソフト竹炭まくら新登場しました。

ソフト竹炭まくら


竹炭粒をタップリ3キロも入れた快眠の竹炭枕は、ズシリと重たく硬めの感触がクセになって手放せない寝心地だ。頭をのせた時に「ジャリ」と竹炭が擦れる音がするのが気になるかと思いきや、全く気にならないばかりか竹炭の音が子守唄のようになっていて、たまにホテルで違う枕になると寂しく感じてしまう。愛用者の一人であるボクだけではなくて、沢山のお客様からの快眠の竹炭枕へのご感想をいただいているので、寝付きが悪かったり、朝までぐっすり休まれたいと悩まれている方は是非一度ご覧いただき参考にしてもらいたい。


ふんわり柔らかソフト竹炭まくら


しかし、そんな竹炭粒入りの竹炭枕も万人の方に対応されているかと言えば、それは違う。実は枕の硬さや音に馴染まれる事がなくて、せっくの竹炭効果を体感できずにおられる方もいるようなのだ。そこで前々から少し柔らかい寝心地で竹炭の消臭効果を発揮できる枕を作りたいなあと考えていたが、今回ちょうどカルファイバーという新クッション素材と竹炭樹脂綿を組み合わせてみる事にしたのだ。


ふんわり柔らかソフト竹炭まくら


実は何個か試作してみた枕が結構良い感触だった、元々福祉や介護の現場での使用を想定されて開発された通気性のよいカルファイバーは、頭の重さを受け止めながら分散させてくれる。竹炭ベットパット用の竹炭樹脂綿では少し厚みがありすぎるので竹炭パウダーの分量など調整して新しく樹脂綿も製作した。


ソフト竹炭まくら


ところが今回、製品完成間際に枕カバーにも竹炭樹脂綿を使う事を思いついた。そこで急遽、まさにベットパットと同じキルティングでお願いし、枕本体にも竹炭樹脂、カバーにも竹炭樹脂という「2枚×2倍!」のソフト竹炭まくらとなったのだ。


ふんわり柔らかソフト竹炭まくら


普通サイズと言うけれど、キルティングの枕カバーのせいかゆったり大きく感じる。ソフトな寝心地をお好みの方にはオススメしたい。




無塗装・防虫剤・カビ防止剤不使用ゆえの苦難!国産青竹踏み

青竹踏みのカビ拭き取り


青竹踏みへの自分の思いは今まで何度もお話しさせてもらっている。20数年前のインターンシップが契機となった、若い学生の方々が青竹踏みを知らないという事に衝撃を受けた。これでは日本の竹文化は消滅はしてしまう!そんな危機感を持って、誰が見ても竹と分かり又手軽な健康法としても古来愛用され続けてきた製品を、1本でも多く一人でも多くの方に届けたいと販売を続けてきた。


青竹踏み


青竹踏みは竹素材そのままを製品にしているようなものだ、だから簡単に考えられている方も多いかも知れない。しかし、それは逆だ。竹素材そのままだから誤魔化しが効かない。製造、加工でサイズを変える事ができない、自然そのままの大きさでお使いいただくので大小様々な竹がある中から厳選せねばならない。


孟宗竹の竹林


竹は沢山あると錯覚されている方ばかりだけれど、いざ頃合いの竹となれば予想以上に少ないものだ。また、竹は根元が太くウラ(先端)ほど細くなっているから全ての稈部分が使用できる訳ではない。竹虎の青竹踏みには強度を考えて必ず竹節を二つ入れる事にしているので、太さだけでなく節間でも製品にできずに余った部分の有効活用も課題になる。竹林管理ができなくなり、山の職人が減っている現在では、まず最初のボトルネックがここにある。


竹の油抜き(湯抜き)


竹はそのままでは使えない、余計な油分を取り除いて耐久性と防虫性を高める。青竹踏みの場合は湿式と呼ばれる熱湯でする湯抜きだ、比較的大量の竹材を加工するのに適した方法。湯抜きした竹は天日に晒して乾燥させる、そしてここからが製造過程に入る。


青竹踏み


半割して、割った面が床に置いた時にガタ付きがないか、グラインダーで削りひとつひとつ確認していく。ところが自然の竹はそれほど素直ではない。時間の経過と共に竹の年齢、個性、乾燥具合によって歪んだり、縮んだり、伸びたりもする。一定のサイズだと思って製造しているのに、後から大きさが違ってくるのだから職人からしたらたまったものではない。


青竹踏み天日干し、竹虎四代目(山岸義浩)


あれだけ苦労して山から伐り出し、湯抜きして、半割したものが少しのサイズ違いで販売できないとなると残念すぎる、まさに「バンブーロス」だ。継続して竹の仕事をしていきたいのに、これでは誰のためにもならない。だから、そんなサイズ違いはどうするのか?皆様に、この辺りの事をご理解いただき大きなサイズ、小さなサイズがあるのをご承知の上でお求めいただきたい。規格外に小さくなるものも実はボクのように、あるいは竹虎スタッフのような青竹踏み上級者にとっては、むしろ足裏のツボにピンポイントで当たって気持がちいい。


青竹踏みカビ


さらに、十分に乾かして大丈夫だと安心していた竹に一晩でカビが来たりするから、竹の油は抜けるが、気は抜けない(笑)。そこで天気の良いは高知の強い日差しに協力してもらって、定期的に広げて天日干を繰り返す。防虫剤、カビ防止剤、あるいはウレタン塗装などをしていれば、社員一同でカビを拭き取ったりする事もなく、この辺りの製品管理が全く楽なのだが、国産竹を安心してお使いいただきたいと言う思いだけで製造しているから使えない。


青竹踏み加工


天日干しすると又歪みがでる事もあるので、お客様のお手元に届ける前に再度ガタ付を確認する。こうした目に見えない大量の竹材と、職人の手間を経た国産の青竹踏みだ、他の防虫剤、カビ防止剤、ウレタン塗装を施した製品と比べてお値段はどうだろうか?高いだろうか?そもそもは日本中の全世帯に1本の青竹踏みと意気込んでいたけれど、5300万世帯もあるので少し無理っぽい(笑)。違いの分かる方にだけ、お求めいただければ良いと思っています。




青竹踏み体操というのも作っています、簡単でどちら様でも出来るかと思いますので是非覚えて毎日の健康生活にお役立てください。


まさに日本唯一、牧野富太郎博士命名!虎竹の竹炭クッキー計画

山田高校の山田まん


高知でしか見られなかったテレビCMがあった。地元高知県にある山田高校の生徒さんたちが自分たちで土佐土産を作りたいと知恵を出し合い創作したお菓子「高校三年生の山田まん」のコマーシャルだ。高知はショウガ生産日本一との事で、ピリリとした餡に日本唯一の虎竹の竹炭を練り込んだスペシャルな饅頭となっていた。ところが、これから本格的に販売という所でコロナになって販促が中止となり、せっかく高知龍馬空港に飾ったポップもお客様の目に触れることは少なかったようだ。




せっかくフランスはパリにまで行って撮ってきたCMだったのに...と言うか渡仏のお土産に持参していた山田まんを自撮りしたらデザイナーの梅原真先生が面白いと言ってくださりテレビに採用されたのだった。


山田高校の山田まん


しかし、その後日本唯一の虎竹を使った最高級竹炭パウダーは価格的には合わないのか?遂には今年から竹虎の竹炭は使われなくなってしまった。しかし、そこであきらめないのが竹虎四代目!せっかく製造しだした日本唯一の虎竹を焼き上げた竹炭だ、今度は来春からスタートする朝ドラ「らんまん」主人公のモデルとなっておられる牧野富太郎博士のクッキーを作ろうと思っている。考えればそれば、そうだろう、何せ牧野博士は虎竹命名の父なのだ!日本国内を見ただけで竹の種類は600種、ご自身の愛妻の名前を名付けたスエコ笹など、竹の研究も熱心だった牧野博士もきっと面白いと喜んでくれるに違いないと思っている。




誰にも知られず、ひっそりと竹材内装の京急電車

京急電車の竹内装材


高知から都内に行こうと思えば飛行機しかなくて、必然的に羽田空港から電車に乗り換える事になる。羽田からはモノレールもあるけれど、ボクの場合は京急線を使う事が多い。そう言えば久しぶりにモノレールに乗って羽田に向かおうとしたら降りる駅を間違えた、京急は羽田空港第1・第2ターミナル駅なのでANAもJALどちらとも考えずに降りられるのだが、モノレールは第1ターミナルと第2ターミナルで駅が分かれているので一瞬どっちだったか分からなくなったのだ。結局、降りて、乗って、また降りて乗って元々降りた駅に戻って来たという事がある(笑)。まあ、それはどうでも良いのだが、とにかく京急電車はさすがに素晴らしい、何が凄いかと言うと何と車内の内装材に竹が使われているのだ。


電車の竹内装


皆さんもご存知のように、今電車に乗れば多くの方がスマホを見ている、見慣れた車内を見る人などはいない。ましてや電車内の内装に気をとられる方は、よほどの鉄道マニア以外には皆無だろう。しかし、そんな鉄道通であったとしても、この壁面を見てだと気づく事は、ほとんど無いのではないだろうか。


京急電車の竹内装材


ボクのように田舎からたまに上京して吊り広告を見まわしたり、時には乗り間違えてないか路線図を確認したりしているので電車の壁面にも目がゆく。そして、アッ!と思わず声が上がる(笑)、おっと!竹の集成材が使われている、竹は節目が模様として現われて特有のデザインになるのですぐに分かる。


京急電車の竹内装材


しかし、せっかく竹を使っているのに誰にも知られていないのではないかと思って近づいてみると「sustina」と書かれていた。サスティナブルに関連しているのだろうか?だから成長が早く環境にもやさしい竹材を使ってるのか?調べると「sustina」とはステンレス鋼材を示す「SUS」、それからサスティナブル(sustainable)それに、地球を救う女神を示す語尾「ina」がついた造語のようだ。京急電車というより車両メーカーのブランドみたいだから、しもかしたら他社電鉄でも竹壁の電車が走っているのだろうか?地球を救う竹電車に他の路線でも出会ってみたい。


カッコイイ!虎竹で編んだミニバスケット

虎竹ミニバスケット


近年、竹の品質が少しづつ低下しているという話を職人たちとしている。これは北海道から九州まで全国的な傾向で、気候の変化や竹林の管理不足、病害、更に120年に一度の開花という複数の要因がからみあっていると思っている。若手職人の中にはテングス病になっていない竹林で竹を伐った事がないと言うから、この傾向は随分と前から続いている竹の大きな変化なのだ。


虎竹ミニバスケット


不思議な事に竹の種類も全く異なる遠く離れた竹同士が、いや竹類だけではなく笹類までもが同様に抵抗力が弱くなっているから、竹類は仲間同志で響き合っているのか?と感じたりする事もある。もちろん虎竹も例外ではなく、色づきのみならず竹質も以前とは違って粘りの無い竹が見られるようになった。だから、虎竹ミニバスケットのように竹を上手く扱わないと負荷がかかってしまう籠は特に編むのが難しい。


虎竹ミニバスケット


部材の多いピクニックバスケットを大きくするのは比較的容易だけれど、小さく作るにはいつも以上に竹材を吟味し、丁寧にヒゴ取りして完成させねばならない。しかし、そうして出来あがった小さな籠は苦労した甲斐があると思えるほど想像以上にカッコイイ。




サンジャク?竹林の異変

 
虎竹の里の秋


「キキキキキッーーーーー」澄み切った空に響くのモズの高鳴きを聞くと秋だと感じる。何処にいる?辺りが見渡せる高木や電柱の先の方にいるはすだ。モズはとても美しい鳥で敏捷性と力強さがあり、カエルなど小動物から他の小鳥まで襲ってしまう。ボクもメジロを飼っている時にはモズには随分と注意していた、コバン(鳥籠)の隙間からでも獲物を狙ってくる野生の逞しさに驚いたものだ。そして「敵ながら天晴れ」と言おうか、いつも一番高いところに陣取り凛として鳴いている姿がカッコイイと思っていた。


竹林の空


このように小さい頃から鳥の鳴き声がすっかり耳に馴染んでいるので、聞き慣れない鳥の声にはすぐに反応する。先日、竹林にいると今まで聞いた事もないような鳥が飛んできた、ちょうど通りかかった山の職人も初めてだと神妙な表情になる。姿は見えなかったが数羽いたようだ、すぐに思い当たったのはニュースで見たばかりのサンジャクという鳥。元々は中国中南部に生育するカラス科で、愛媛県の公園施設から逃げ出したものが野生化して高知県西部に生育域を広げているそうだ。高知の県鳥となっている、ヤイロチョウの生態を脅かす外来種として報じられているけれど、鳴き声の迫力からして日本の里山で見る山鳥とは全く違うと感じている。


虎竹林


自然はこのように常に移り変わっている。飼っていた鳥が野生化したにしても、温暖化などの影響で環境が適応しているからこそ新聞で報じられる程に繁殖しているのだろう。虎竹も変化し続けている、だからこそ、たとえ竹林で遊ぶメジロやウグイスがサンジャクに変わるとしても変わらないものを大切にしたい。