竹富島にヤミカゴと呼ばれていた買い物籠があった、戦後の小さな島には農地が少なく食料不足なので近くの石垣島から食材を買ってきたのだそうだ。その時に使われていのが今回のアダン手提げ籠バッグの元となった竹富島に自生していたンーマニという植物の皮で編まれた手提げ籠だった。
ンーマニとはクロツグの事で南西諸島に自生するヤシ科の植物とある。石垣のジャングルのような山中で蓬莱竹を見せてもらった事があるが、亜熱帯気候では植物のパワーも質も凄いが種類も豊富なのだ、全国各地にあったヤミカゴをこちらの島ではンーマニで編まれていた。その復刻したのが現在のアダン手提げ籠バッグなのだ。
アダンの手提げ籠バッグと呼んでいるが、現在編んでいるものはアダンと同じタコノキ科の近縁種であるタコノキの葉で作られているバッグだと言う。アダンとタコノキは似ているようで違う、しかし、確か一番最初はアダンだったように記憶していてそのままになっているのだ、もしかしたら別の職人さんの話だったかも知れないし、違う籠だったかも知れない。
とにかく竹富島をルーツにする民具には稲ワラ、クバ(ビロウ)、クージ(トウツルモドキ)、アダン、月桃、ンーマニ(クロツグ)、ブー(苧麻)、バシャ(芭蕉)、シーチ(ソテツ)、ユッキ(ススキ)、茅、タコノキ、蓬莱竹など豊かな自然を表すかのように色々な素材があって楽しい。
天然素材をあますところなく活かし、型を使って丈夫で美しい手提げ籠にしていくのだ。この籠の最大の特徴は持ち手にあって、一本のループ状になった編み込みを本体底から固定して仕上げられているので本当にしっかりしている。使い手の事を十二分に考え抜いた創意に頭が下がる。
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