スペインにレースに行った時に知り合った日本の方がいる。こう言っても前から竹虎をご存じの方以外は何の事かサッパリだと思うので簡単に説明したい。レースとはボックスカートレースの事で、日本ではあまり馴染みがないのだが欧米では結構盛んに開催されている、要するにエンジンのついていない車輪だけの車体で坂道を下り降りる大会なのだ。遊びのようでもあり、スポーツのようでもあって、楽しいウケ狙いの車から空気抵抗まで考えたスピード追及の車体まであって、それぞれの方が楽しむお祭りのようなレースだ。
スペインでも美食の地として知られるバスク地方にビトリアという町がある。そこで開催されるレースに誘われたのは、メキシコで開かれた世界竹会議に日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」で登壇させてもらったからだった。おまけに、その虎竹編みの車で街を走ったものだから竹の車体をみたイバンさんが是非竹の車で走りに来ないかと言うのだ。
前置きだけで長くなってしまったけれど、こんな経緯で虎竹ボックスカートを製作しビトリアのレースで走ろうとしている、まさにその直前にフッと目の前に現れたのが岡田さんだった。日本人などほんどいない地方の町なので驚いた、いや今思えば自分以上に岡田さんの方がビックリされていたのかも知れない。
後から知ったが岡田さんは大の車好きでクラシックカーの集いなども主催されているような方なので、レースと聞いて見物に来られていたのだ。面白い方と出会ったなあと思っていたけれど、帰国してから数年、コロナなどもありなかなか再会する機会がなかったのだが、ようやく虎竹の里にお越しいただく事ができた。はじめて出会った時のスペインの澄み切った青空のように気持ちの良い方は、古い町並みを吹き抜けてゆく風みたく、いつも飛び回っているようだ。
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