抱き枕はエアコンの無かった時代から、夏を少しでも涼しく過ごしたいという先人の思いから生まれた竹籠で、日本だけでなく竹が身近にある東南アジア一帯に同じような製品が編まれてきた。台湾や韓国で沢山編まれているのを見た事があるので、恐らく竹の本場である中国や竹の豊富なベトナム等では、もっと多彩な籠があるのではないだろうか。
しかし、日本唯一の虎竹を使って編まれている抱き枕とはかなり珍しい、10数年前に作ったきりの試作品だと言うが一つ感じるのが時間の経過を思わせない竹の状態だ。大小ふたつのサイズがあり本当に素晴らしい出来栄えだが、不思議と竹の弾きや割れなどがない。
実は近年の竹質の低下をずっと危惧している。蔓延しているテング巣病が、本来なら粘りもしなりももっとあるはずの真竹に影響しているのだと推測しているが、白竹製の抱き枕でも負荷のかかる先端曲がり部分では数年で竹ヒゴが耐えきれずにヒビ割れを起こしている。
確かにこのような症状はほんの十年前まで見られなかったように思う。少しつづ変わり続けていく虎竹で、昔から変わらない抱き枕を試作中だ。
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