海外からの筍輸入は昭和60年(1985年)から始まったと言われており、それまで全国各地で収穫されていた筍の多くが採算が合わなくなり放置されて現在に至っている。「竹害」などと、とんでもない事をメディアが報じた事もあるが、人の暮らしのために人が植えて人が広げてきただけであり、竹には何の責任もない。しかし、竹林が荒れ果てた竹藪になっている事は事実で、昼間でも薄暗く立ち枯れした古竹で中に入ることもままならない所も多い。
だから、このように手入れされた竹林に伸び伸びと育つ竹を見ると心から安堵するのだ。1日に120センチも成長する事がある竹のパワーを感じて、自分までもエネルギーがみなぎってくる気がする。
まさに筍が竹にある瞬間である。竹皮を脱ぎ捨てながら上へ上へと伸びあがっていく竹。残された竹皮には抗菌作用があり、自分の小さい頃のお肉屋さんでは包材は決まってこの竹皮が使われていた。今では国産の竹皮は本当に極一部だから、竹虎の竹皮草履も全国レベルで超レアな製品だ。昔ならどこの田舎に行っても何人かは、この竹皮を使った草履も編まれていたはずだから、変わらないようで日本も時代も変わっている。
変わらない竹の驚異的な成長力を支えるのは、縦横無尽に繋がってる竹根だ。
この山の頂まで見渡せる、手入れの行き届いた竹林では、まだまだアチラコチラから筍が顔を出している。そして、あれよあれよと大きく育つ力の根源が、皆で助け合う竹の強さなのだ。
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