竹冠の付く漢字の多さからも、竹と人の暮らしは古来よりずっと深く結びついてきた。中国のことわざに「可使食无肉、不可使居无竹(食事で肉がないのは許せるが、暮らしに竹がないのは許せない)」と言うものがあると教えられたが、実際日本でも生活に竹は欠かせないパートナーだった時代がある。
そのせいか不思議な伝承も多く、ひとつが男竹と女竹だ。竹に男女があるのか?筍には聞いた事がある等、いろいろな話があるけれど見分け方は簡単で、竹の根元から見て行って最初に出ている枝の本数で決まる。一本なら男竹、二本なら女竹だ。だから何かが違うという事はないが、一体誰が言いだしたのだろう、オモシロイ。
竹に男や女があると思われるほど、人に近しい関係だった竹。しかし、神秘的な生態には人智を超えるものがあって分からない事だらけでもある。
例えば自分が愛用するスズ竹市場籠。ササの仲間の小さな竹だが、粘りが抜群で強さがあるのに優しい手触りとしなやかさがある。修理しながら親から子へ孫へと使える秀逸な素材であるが120年に一度と言われる開花があってスズ竹の竹林は枯れ果てている。真竹や淡竹(はちく)も120年に一度、孟宗竹は60年に一度、イネ科らしく稲穂のような花を付ける。不思議としか言いようがない。
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